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2016年4月の電力自由化以降、一般市民が自由に電力会社を選べるようになりました。既存の電力会社に比べて、新規参入の電力会社は電気料金が安価であるため、契約変更を行う世帯が増えるといわれています。

ただ、会社同士の競争が生まれると、顧客を得るための勧誘が激しくなりがちです。特に、電力会社の変更手続きは毎月届いている「検針票」の情報があれば行えるため、電話による勧誘が加速していくものと考えられます。

また、中には電力自由化によって起こりうる詐欺も存在します。そこで、ここでは電話勧誘の際の要注意電力会社の見分け方や詐欺の方法について解説していきます。

電力販売の営業にはルールが定められている

一般的に、営業や勧誘を行う際はメリットを強く打ち出します。そして、デメリットについては不利益に感じさせないような言い方をしたり最後に少しだけつけ加えたりという手段を取ります。

ただ、前述のように、企業同士の競争が進むと営業・勧誘が激化します。電力会社も例外ではなく、利益を上げるためにあの手この手を使って契約者を増やそうとします。すると、メリットの表現方法が過激になり、真実とはかけ離れたものになりやすいです。

このような事態が起こると、消費者は何が真実なのかわからなくなり、誤った選択を行いやすくなります。そのため、経済産業省はこれを防ぐために「電力取引監視等委員会」を設置し、電力販売の際のルールを定めています。

例えば、電力販売時には「絶対に安くなる」という表現を使うことができません。これは、契約を切り替える際に違約金が発生する可能性があり、場合によっては損をしてしまうことがあるからです。

また、「きれいな電気」や「エコな電気」などの表現による電力販売は不可とされています。これは、各発電所で作られた電力が共通の送電網に集められて家庭に届くためです。

つまり、太陽光や風力、原子力などのさまざまなエネルギーによる電力がミックスされるため、家庭に届く電気に差が発生しないのです。そのため、前述のような表現は消費者の誤解を招くため、使用してはいけないという決まりになっています。

他にも、電力取引監視等委員会によって、消費者がわかりやすいように標準電力使用量での月額料金を情報提供することや、引越しに伴う契約解除の際に解約金を請求しないなどのルールが設けられています。

これらのルールは、どれも消費者が不当に損をしないために定められたものです。そのため、このようなルールを守らない企業は信用するべきではないといえます。具体的には、「確実に安くなる」や「きれいな電気が届くようになる」などの文言で営業を行う企業は信用に値しないということです。

口頭での説明ではトラブルを生じる可能性がある

前述のように、電力会社の変更は各社ホームページや窓口、電話などで容易に行うことができます。ここで、インターネットでは電気料金のシミュレーションが可能ですし、窓口ではわかりやすい資料を目で確認しながら契約を進めるため、消費者は冷静に判断しやすいです。

これに対して、電話による契約ではすべての情報が口頭による説明であるため、聞き逃しや理解不足が起こりやすいです。そのため、ホームページや店頭での契約に比べて、電話での契約は「こんなの聞いていない」といったトラブルが起こりやすいのです。

このようなトラブルを防ぐためにも、電力販売を電話で勧誘された際には、これまでに述べたような「電力販売時のルール」を理解して冷静に話を聞く必要があります。

電話勧誘の際に利用できるクーリングオフ制度

クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘販売などの「もともと買うつもりのなかった消費者が勧誘によって購入・契約をしたとき」に契約日を含めて8日以内であれば契約が解除できるという制度です。

以前は特定の電力会社としか契約ができなかったため、電力業界はクーリングオフ対象外でした。ただ、電力自由化以降は多数の電力会社が参入したことによってクーリングオフの対象となっています。つまり、前述のような電話勧誘による電力会社との契約は、8日以内であれば無効にできるのです。 

そのため、電話勧誘によって電力会社と契約した際は、あとから会社の概要や評判について調べてみることをおすすめします。そうすることによって、より良い判断が可能となって電力会社選びに失敗しづらくなります。

電力自由化によって電気料金は平均的に安くなりました。ただ、損をしないためには消費者が賢く選択をする必要があります。そのため、これまでに述べたような知識を蓄えて冷静な判断を下すことが大切です。

また、単身の高齢者は情報源が少ないため、前述のような電話勧誘による不利益を被りやすいです。そのため、身内や知り合いに単身高齢者がいる場合は、電話勧誘の注意点やクーリングオフの制度についてあらかじめ話しておくことをおすすめします。

電力自由化によって起こりうる詐欺

また、現在では多くの企業が電力業界に参入して、消費者が自由に電力会社を選べるようになりましたが、制度が変わるとそれを活用した詐欺被害が多くなるという傾向があります。つまり、電力自由化に便乗した詐欺が発生する可能性があるのです。

 

電力自由化によって、消費者が選択できる電力会社が大幅に増加しました。そのため、電力会社の乗り換えによって、電気料金を下げたり希望のサービスが受けられたりするなどさまざまなメリットを得ることができます。

このように、電力会社の切り替えにメリットがあると、「多少の初期費用には目をつぶる」という人が少なくありません。そのため、詐欺師にとっては詐欺行為を仕掛ける良い機会となります。

基本的に、初回における電力会社の切り替えには初期費用がかかりません。地域の電力会社のうち、東京電力と契約している世帯では解約時に540円がかかりますが、他の地域電力会社では解約金は不要です。また、新電力会社と契約するときに費用がかかることもありません。

つまり、地域電力会社から新電力会社に切り替える際にかかる費用は、最高でも540円です。そのため、電力会社の切り替えに高額の初期費用を請求してくる業者は、詐欺である可能性が非常に高いといえます。

スマートメーターの設置に工事費用はかからない

原則として、電力会社の変更には、通信機能を備えた「スマートメーター」の設置が必要です。自宅の電力量計がスマートメーターになっていると、時間ごとの電力使用量が把握できたり、電力会社の切り替えが数日で完了したりするようになります。そのため、電力会社を切り替える予定がなくても、電力量計をスマートメーターに変更する人は多いです。

また、スマートメーター設置の申し込みをしなくても、従来の電力量計が使用期限満了を迎えると、自動的にスマートメーターへ変更されます。

原則として、このようなスマートメーターの設置には費用がかかりません。ただ、稀に「設置箇所の強度が極端に低い」などの理由によって費用が発生することがあります。

そのため、スマートメーターの設置に費用を請求された場合は、費用発生の理由を明確に聞き出すことが大切です。その上で、電力量計の持ち主である地域の電力会社に、スマートメーターの設置費用について改めて確認しましょう。そうすることで、詐欺被害を防ぐことができます。

契約の更新に費用はかからない

電力会社を変更するつもりがない人でも、「電力自由化によって費用がかかる」という詐欺に引っかかることがあります。例えば、「電力自由化で電力会社が増えたため、契約更新に費用がかかるようになった」という詐欺が考えられます。

実際には、契約更新に費用を必要とする電力会社は存在しません。また、他業界の事例をみると、今後日本でそのような会社が出てくる可能性はかなり低いです。そのため、電力契約の更新に費用を請求された場合、詐欺である可能性を疑うのが賢明です。

ただ、海外の事例を見ると、契約更新時に費用を請求する会社が電力業界に参入する可能性はゼロではありません。そのため、電力会社乗り換えの際には、契約時や更新時、解約時などに発生する費用を確認してから契約することが大切です。

このように、電力自由化によってさまざまな詐欺が行われる可能性があります。

ただ、契約者の過失をのぞいて、電力自由化によって多額の費用が発生することはありません。そのため、電力関係で「費用がかかる」という連絡が来た場合、まずは契約している電力会社に確認しましょう。そうすることで、詐欺被害を防ぐことができます。

また、このような詐欺のターゲットになりやすいのは、高齢者のみで暮らす世帯です。そのため、身内に別に暮らす高齢者がいる場合は、これまでに述べたような情報を共有して、悪徳な詐欺に引っかからないように注意を促すことをおすすめします。