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電力自由化によって、消費者はさまざまな電力会社を選べるようになりました。これによって、電力会社の選択基準も多様化して多くの料金プランやサービスが展開されています。

消費者が電力会社やプランを選ぶときの基準の一つが、電力の発電方法です。現在日本の電気の約6割は火力発電によってまかなわれています。ただ、火力発電では地球温暖化の原因物質といわれている二酸化炭素が大量に発生します。

これに対して、再生可能エネルギーによる発電は二酸化炭素が発生しないため、環境にやさしいといわれています。そのため、電力自由化を機に再生可能エネルギーによる電力を供給する会社への切り替えを検討している人が多いです。

そこで、ここでは再生可能エネルギー電力について解説し、このような発電方法を選ぶ際の問題点について述べていきます。

再生可能エネルギーとは

日本で多く使用されている石油や石炭などの化石燃料は、資源に限りがあります。これに対して、太陽光や風力、水力などは資源が枯渇しないエネルギー源です。このようなエネルギーを「再生可能エネルギー」といいます。

前述のように、再生可能エネルギーによる発電は火力発電に比べて二酸化炭素の排出がありません。また、原子力発電には、事故が起こると地域が放射性物質に汚染されるというリスクを伴います。一方で、再生可能エネルギーによる発電にはこのようなリスクがないため、原子力発電に比べて安全性が高いといわれています。

このような理由から、国は再生可能エネルギーによる発電を推進しており、選択する消費者も増加しています。ただ一方で、再生可能エネルギーによる発電には問題点もあります。

再生可能エネルギーによる電力を選ぶ問題点

前述のように、国内電力の約6割は火力発電によるものです。また、東日本大震災前までは原子力発電による電力が約3割を占めていました。これは、これらの発電方法は発電量が安定しやすいのが、その理由です。

それに対して、自然のエネルギーを使用する再生可能エネルギー発電は、天候などの環境変化によって発電量が変化しやすいため電力の安定供給には向きません。

ただ、一般消費者が再生可能エネルギー電力を購入しても、実際のところ家庭の電気が不安定になることはありません。これは、家庭の電気を不安定化しないように、発電量が足りなくなったときには送配電会社が別の発電所から電力を調達して家庭に送る仕組みがあるためです。

しかしながら、このような場合、他から電力を調達するためのコストが電気料金に上乗せされます。また、一般的に再生可能エネルギーによる発電は他の発電方法に比べてコストがかかりやすいです。そのため、再生可能エネルギー発電による電気料金は通常に比べて高くなります。

再生可能エネルギー電力の種類

これまでに述べたように、再生可能エネルギーによる発電の需要は高まっています。そのため、電力各社が再生可能エネルギーによる発電の比率を高めた「グリーン電力」や「FIT電気」を販売しています。

グリーン電力とは、風力や太陽光など再生可能エネルギーによって作られた電力のことをいいます。

FIT電気とは、「固定価格買取制度」によって電力会社が購入した再生可能エネルギーによる電力のことです。固定価格買取制度では、国が電力会社に再生可能エネルギー電力を買い取ることを義務付けており、そのための費用が電気料金に上乗せされています。つまり、FIT電気とは消費者から徴収したお金を利用して購入した再生可能エネルギーのことをいいます。

したがって、グリーン電力とFIT電気の違いは、「一般消費者のお金で賄われているかどうか=固定価格買取制度」の使用有無といえます。

契約したとしても、再生可能エネルギーが届くとは限らない

いずれにしても、これらはどちらも再生可能エネルギーによって発電されているため、グリーン電力やFIT電気などの表記があるプランを選ぶことによって環境にやさしい電力を購入することができます。

ただ、再生可能エネルギー発電を行う電力会社と契約しても、家庭に届く電気が再生可能エネルギーによるものとは限りません。これは、発電された電気が一箇所に集められて、さまざまな発電方法による電気が混ざった状態で家庭に送られるためです。

つまり、再生可能エネルギーによる発電を支持して普及に貢献することはできますが、特定の発電方法による電力だけを使用することはできません。そのため、環境にやさしい電力を購入しているからといって、いくら電気を使っても環境に影響しないということではありません。

前に述べたように、火力発電のための化石燃料には限りがあります。再生可能エネルギーによる発電を支持して限りある資源を大事にするということは、私達の未来を大事にすることと同義です。そのため、これまでに述べたようなことを踏まえて、環境に配慮した会社との契約を選択肢に入れてみましょう。

再生可能エネルギー電力を販売する会社の倒産リスク

さて、電力会社が再生可能エネルギー電力のみを販売していると、経営難に陥りやすく倒産リスクが高いといわれています。

 

電力自由化が実施されるまでは、一般消費者が契約できたのは地域電力会社の10社のみでした。そして、これら地域電力会社の電気料金は、「総括原価方式」で定められていました。

一般的な商品では、商品の価格からコストを差し引いた金額が利益となります。これに対して総括原価方式とは、電力を販売するためのコストに、あらかじめ定められた利益を上乗せした金額を電気料金とする方法です。

電気料金に総括原価方式を導入すると利益が安定するため、企業が発電所や送配電網などの設備投資を行いやすくなります。そのため、総括原価方式は、産業や経済の発展を促して戦後の日本復興に貢献したといわれています。

ただ一方で、総括原価方式による電気料金では、企業が努力を行わなくても一定の利益が得られるため、サービスの向上やコスト削減が行われにくいです。

また、現在日本の電力設備は戦後に比べて充実しており、電力会社が総括原価方式によって利益を確保する社会的なメリットが低下しました。このようなことから、電力自由化とともに総括原価方式による電気料金の撤廃が決定しています。

総括原価方式が撤廃されると、各電力会社は利益を確保するための努力を行う必要が出てきます。すると、顧客を増やして利益を増やすために、電気料金を下げます。

電気料金が下がると、その分だけ企業の利益は減額します。つまり、価格競争が起こると、企業の資金力が低下しやすいということです。そのため、総括原価方式の撤廃によって価格競争が加速すると、企業が経営難に陥りやすくなり倒産リスクが高くなります。

なぜ再生可能エネルギー発電は倒産しやすいのか

前述のように、再生可能エネルギーによる発電は発電量が安定しにくいです。これは、エネルギー源が自然そのものであるため、環境の変化によって発電量が左右されるためです。例えば、太陽光発電では、晴れの日と雨の日では発電量に大きな差が出ます。また、風力発電は風が吹かなければ発電できません。

さらに、電気には「溜めておくことができない」という性質があります。そのため、発電量が安定しないと電力の供給が不安定になります。

悪天候などによって再生可能エネルギーの電力供給が不安定になっても、消費者の世帯への電力供給が止まることはありません。このようなときは、余力がある他の電力会社が、供給できなかった電力を発送電して補っています。

ただ、電力供給が行えなかった電力会社にはペナルティが課されます。つまり、発電量が足りなくなって一時的に電力供給が行えなくなった会社は、罰金を支払う必要があるということです。

前述のように、再生可能エネルギー発電は発電量が不安定になりやすいです。そのため、再生可能エネルギー電力の販売は、罰金を払うリスクが高いといえます。

電力供給が不安定な再生可能エネルギー

このようなリスクを電気料金に反映させるのには限界があります。というのも、「電気料金がいくら高くても、再生可能エネルギー電力を選ぶ」という人は少ないためです。そのため、再生可能エネルギー発電では、他の電力会社より高額な電気料金を設定することは困難なのです。

ただ、他の発電方法による電力と同程度の価格に設定すると、罰金を支払うたびに企業体力がすり減ります。そのため、悪天候の連続などによって罰金回数が増えると、経営難に陥って倒産に至ることがあります。

実際に、電力供給の不安定化による罰金が原因で電力会社が倒産したケースがあります。つまり、電力供給の不安定化による罰金が発生しやすい再生可能エネルギー電力は、倒産リスクが高いといえるのです。

このようなことから、再生可能エネルギーによる電力会社を選ぶ際には注意が必要です。特に、再生可能エネルギーによる電力のみを販売しているにもかかわらず、電気料金が過剰に安い会社との契約は慎重になる必要があります。

一方で、他の発電方法と再生可能エネルギー発電の両方による電力を販売している会社や、再生可能エネルギー電力を販売している会社の他業種における利益が安定している場合は、倒産リスクが低いといえます。そのため、再生可能エネルギー電力を選びたい場合は、このような会社を選ぶことが大切です。

高い環境意識で再生可能エネルギー電力を販売する会社と契約しても、会社が倒産するとさまざまな不利益を被ります。このようなことを防ぐためにも、これまでに述べたような知識を踏まえて賢く判断することが大切です。