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2011年の東日本大震災によって、原子力発電所の事故が起こりました。これにより、事故前には日本全体における発電量の約3割を占めていた原子力による電力は、約2%の水準まで低下しました。

ただ、政府は2015年に、「原発依存度を可能な限り引き下げる」ことを前提に、原子力による発電を全体の20%までに増やすという方針を打ち出しました。つまり、政府は「日本における電力の約2割を原子力が担う必要がある」と考えているということになります。

実際に、原子力発電所の稼働にはさまざまなメリットがあります。ただ、多くの人が知っているように、原子力発電には事故が起こるリスクを伴います。

そこで、ここでは原子力発電のメリットとデメリットについて解説していきます。

原子力発電の仕組み

原子力発電の仕組みには、いくつかのタイプがあります。ただ、これらはどれも、核燃料が分裂するときの熱を利用して発電します。そして、一度分裂を始めた核燃料は長期間かけて分裂を行い、安定した熱量を発します。つまり、原子力発電の燃料は、少ない量で長く燃えるということです。

このような特徴から、原子力発電はランニングコストが低い発電方法といわれています。つまり、その分、原子力による電力はコストが安いのです。そのため、原子力の発電量が増えると、電気代が安くなりやすいというメリットがあります。

また、火力発電は地球温暖化の原因物質といわれている二酸化炭素などのガス排出を伴うのに対して、原子力発電ではこれらの排出がありません。そのため、原子力発電では正常な運転で空気を汚すことがないため、環境にやさしい発電方法といわれています。

一方で、これらのメリットは、原発事故が起こると打ち消されます。例えば、原発事故が起こると、発電所などの処理や被爆者の補償などに多額の費用がかかります。また、事故によって放射能が拡散すると、環境に多大な悪影響があります。

つまり、原子力発電所は正常な運転では運用コストが安価環境にもやさしい発電方法ですが、事故が起こると膨大なお金がかかるだけではなく、人や環境に大きな被害をもたらす危険性があります。

このように原子力発電は、正常な運転が行われるとメリットが多いです。ただ、事故が起こったときの健康や地域への被害は取り返しのつかないものとなります。このようなことから、原子力発電は「ハイリスク・ハイリターンの発電方法」といえます。

原子力発電ではお金が国内に回る

前述のように、原子力発電にはさまざまなデメリットがあります。ただ、このようなリスクを避けるために原子力発電所を停止させると、その分だけ火力発電所の稼働を増やす必要があります。というのも、水力や風力などの再生可能エネルギーによる電力は、自然環境によって発電量が左右されるため、電力を安定的に供給することが困難なためです。

火力発電所では、化石燃料を燃やして発電します。化石燃料は原子力燃料に比べて高価であり、熱を生み出す能力も低めです。そのため、火力発電は原子力発電に比べてランニングコストが多くかかります。また、火力発電には二酸化炭素などの排出による環境汚染のリスクを伴います。

さらに、日本では火力発電のための化石燃料を、すべて輸入して調達する必要があります。つまり、火力発電を行うほど日本の支出が増えるということです。

これを補うために収入を増やすには、海外に日本の物や技術を売ってお金を稼ぐ必要があります。ただ、新興国の発展やグローバル化などによって国同士の競争が激化しているため、日本の収入を増やすことは容易ではありません。つまり、火力発電所の稼働を増やすということは、収入が増える見込みがないのに日本の支出を増やすということなのです。

一方で、原子力発電には燃料によるランニングコストはほとんどかかりません。また、原子力発電に必要な技術は国内でまかなっています。そのため、原子力発電所を運営するためのお金は、国内に循環します。つまり、原子力発電所の稼働には、火力発電所ほどの支出が発生しないのです。

さらに、国内の原子力発電を運営するための技術は、海外に輸出することができます。そのため、原子力発電は日本の支出を減らすだけではなく、収入を増やすための「商品」になるといえます。

このように、原子力発電には大きな経済的メリットがあります。そのため、政府は原子力発電所を積極的に稼働しようとしているのです。

電力会社の変更によって発電方法を支持できる

2016年に電力小売が全面自由化されたことによって、消費者が電力会社を自由に選べるようになりました。つまり、消費者が電力会社の選択によって「発電方法の支持」を表明できるようになったのです。そのため、消費者の電力会社選択が、電力業界の今後に影響を与えるといえます。

今後のエネルギー事情は、日本や世界の未来を左右する重要なテーマです。そのため、このテーマを他人事とせず、これまでに述べたような知識を踏まえた上で、自身の意思で発電方法を選択するようにしましょう。そのようにして国民全員が責任ある意思をもって判断することで、過ごしやすく安定した未来が得られるはずです。