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2016年4月に電力小売が全面自由化してから、電気代節約のために「電力会社の変更」という手段が選べるようになりました。実際に、電力自由化によって価格競争が起こったため、電力会社を変更することで電気代が安くなる人が多いです。

ただ、さまざまな会社が電力業界に参入したことによって料金プランやサービスが多様化しており、消費者が適切なプランを選ぶことが困難になっています。また、選択を誤ると、電気代を節約するつもりがかえって高くなる、ということが起こりえます。

このような誤った選択をしないためには、世帯の消費電力や電気料金に関する知識が必要です。これらの情報は、毎月届く「電気使用量検針票」にその記載があります。

また、契約アンペアについて確認したり、スマートメーターに関する知識を得たりすることによっても電気代を節約できます。そのための知識について解説していきます。

検針票に載っている主な情報

検針票に記載されている情報は、各電力会社によって差があります。ただ、以下の7点はどの電力会社からの検針票にも記載があります。

①供給地点特定番号

②電気の使用場所(契約者の住所)

③契約者の名前

④契約プラン

⑤当月の電気使用量

⑥当月の請求金額

⑦お客さま番号

検針票に載っている情報の詳細

①「供給地点特定番号」とは、2016年1月以降の検針票に記載されている22桁の番号のことです。これは、地域の電力会社が供給地点ごとに割り振られており、電力会社を変更する際に必要となります。

②「電気の使用場所」とは、実際に電気を使用している場所のことです。多くの人は、ここに自宅の住所が記載されています。商店などの個人事業主が店の電気使用量検針票を自宅に届けてもらっている場合は、商店の住所が記載されることになります。

③「契約者の名前」とは、電力の契約をした人の名前のことです。基本的に、ここに書いてある名前の人以外では電力会社の変更ができません。例えば、夫婦のうち夫の名前で検針票が届くのであれば、妻が電力会社の変更を行うことはできません。

④「契約プラン」とは、電力会社と契約している料金プラン種別のことです。一般的な家庭では、「従量電灯A」か「従量電灯B」となっています。これらは、使用量に応じて電気料金が変わるプランです。

また、東京電力ほか5つの地域電力会社では、契約プランに加えて「契約電流」の記載もあります。これは、一度に流せる電流の量に関する契約で、10~60A(アンペア)と記載されています。この数値が多くなるほど一度に動かせる家電の量が多くなり、基本料金が高くなります。

⑤「当月の電気使用量」とは、検針票に記載のある月の消費電力量のことです。「kWh(キロワットアワー)」という単位で記載されています。また、電力会社によっては前月分や前年同月分の使用量も記載されている場合があります。

⑥「月の請求金額」とは、前述の使用量に応じた電気料金に、消費税や燃料費調整、再エネ発電賦課金などが加わったいわゆる「電気代」です。

燃料費調整とは、発電用燃料の価格変動を電気料金に反映させるものです。例えば、発電量燃料の一つである石油が値上がりすると、燃料費調整額が加わって電気代が高くなります。一方で、石油などが安くなると、燃料費調整によって電気代が値引きされて安くなります。

再エネ発電賦課金とは、「再生エネルギー発電促進賦課金」の略です。これは、国の政策によって全国一律で徴収されており、再生エネルギーによる発電を促進させるために利用されています。

⑦「お客さま番号」とは、契約者一人ひとりに割り振られた番号で、電力会社への問い合わせ時などに必要となる番号です。また、電力会社の変更の際にも必要となります。

電力会社や料金プランを変更するときに有用な情報

前に述べた検針票の情報は、どれも電気代の節約のために知っておくべき情報です。特に、契約プランと使用電力、請求金額の3点は電力会社や料金プランを見直す際に必要です。

これらの情報を各電力会社のホームページにある「料金シミュレーター」に入力するとプラン変更前後の電気料金が表示されるため、プランが適切かどうかの判断ができるようになります。つまり、前述3点の情報がないと、プラン変更による料金の変動がわからないため適切な料金プランが選べないのです。

検針票が手元にない場合は、契約している電力会社のホームページで消費電力や電気料金を確認することができます。ただ、これらを確認するためにはお客さま番号での利用登録が必要です。お客さま番号が不明であれば、まずは電力会社に問い合わせてみることをおすすめします。

このように、検針票に記載のある情報は電気代を節約するために必要不可欠です。そのため、電気代を節約したいということであれば、検針票は捨てずに少なくとも1年分はとっておくことが賢明です。

そして、これまでに述べたような情報を意識して検針票を確認することで、今より電気代が節約できるようになるはずです。

電気代節約のために行う契約アンペア選びのコツ

他にも、電気代の節約には契約アンペアについて知ることも重要です。

現在、さまざまな会社が電力業界に参入して料金プランが多様化しています。ただ、新規電力会社であっても、基本の電気料金システムは従来の方法を取り入れているところがほとんどです。

例えば、東京電力の電気料金は「基本料金 + 電力使用量に応じた料金」で計算されます。そして、新電力会社であるauやJ-COMの東京電力圏内における電気料金も、同じ計算方法で算出されます。

ただ、地域電力会社の中でも、基本料金の計算方法は大きく分けて2種類あります。東京電力や北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、九州電力の6社では、基本料金に「電流(アンペア)制」を設けています。

アンペア制による基本料金では、契約するアンペアによって料金が変動します。そのため、契約アンペアの選択を誤ると電気代が高くなることがあります。

契約アンペアとは

前述のように、地域電力会社のうち6社では、基本料金が契約アンペアによって変動します。契約アンペアとは、家庭内に一度に流すことができる電流量の上限を定めるものです。

例えば契約アンペアを20Aで契約すると、一度に流すことができる電流は20Aとなります。例えば、20A契約では10Aの電子レンジと2Aの冷蔵庫、2Aのテレビを同時に使用することができます。「10A+2A+2A<20A」であるからです。

このとき、契約アンペア以上の電流を家庭内に流そうとすると、ブレイカーが落ちて一時的に電気が止まります。例えば、前述の電子レンジと冷蔵庫、テレビを稼働させながら、追加して10Aの炊飯器を使用するとブレイカーが落ちて電気が使えなくなります。つまり、一度に稼働させる家電が多い世帯では、契約アンペアを大きくしないと生活に支障が出るということです。

一方で、契約アンペアを大きくするとその分だけ基本料金が高くなります。例えば、東京電力では20A契約の基本料金が561.6円であるのに対して、30Aでは842.4円となります。そのため、自宅にあまりいなかったり家電の使用量が少なかったりする人が大きいアンペアで契約すると、損をするということになります。

アンペアの算出方法

前述のように、契約アンペアの見直しは電気代節約のために有効です。ただ、契約アンペアを見直すためには、家庭内にどれくらいの電流が流れるかを想定する必要があります。

電流は、「電力(W) ÷ 電圧(V)」で求めることができます。電力(W・ワット)とは、電気の力の単位のことです。各家電が稼働するための電力は、説明書や家電に貼られているステッカーなどに記載があります。

電圧(V・ボルト)とは、電気を押し出す力の単位のことです。一般家庭の電圧は100Vで設定されています。

このことから、1000Wで稼働する電子レンジを動かしたときの電流を計算すると、「1000(W) ÷ 100(V) = 10(A)」となります。つまり、この電子レンジの容量(アンペア)は10Aということです。

このようにして、一度に動かす家電のアンペア合計を算出すると、適切な契約アンペアを選ぶことができます。このとき、生活を不便にしないために世帯でもっとも家電を使うときの想定を行うことが大切です。そのため、夏や冬、夕方などの電力消費量が多い季節・時間帯で計算しましょう。

ただ、このようにして家庭の電流を手動で計算するのは簡単ではありません。そのため、契約アンペアの見直しを検討するのであれば、各電力会社ホームページにある「アンペアチェック」というシミュレーターの利用をおすすめします。

アンペアチェックでは、消費電力量のピーク時に稼働する家電にチェックを入れることで、適切な契約アンペアを自動で計算します。このとき、誤差を少なくするために正確な家電のアンペアを入力することが大切です。

このようにして契約電流を見直して電気の基本料金を下げると、毎月決まった金額を節約できるようになります。また、家電のアンペアを把握することで、契約アンペアを低いものにすることが可能となります。

そのため、電気代を節約したいのであれば、何気なく使っている家電のアンペアを計算してみましょう。そして、これまでに述べたような知識を活用することで家計の負担を軽くすることができます。

スマートメーター設置のメリット・デメリット

さて、電力自由化によってスマートメーターの普及が加速するといわれています。これは、電力会社の切り替えにはスマートメーターの設置が必要なためです。

スマートメーターを設置すると、電力会社を変えられるようになるだけではなく、さまざまなメリットがあります。ただ一方で、デメリットも存在するのが事実です。

スマートメーターとは

従来普及していた電力量計は、使用に応じてメーターが回るアナログ式のものでした。それに対してスマートメーターは通信機能を備えたデジタル式のメーターで、30分ごとに使用電力を計測して電力会社にデータを送信することができます。

スマートメーターは電力自由化以前から導入されており、2014年ごろから設置が始まっています。そのため、2014年以降に新築された家や電力量計の有効期限が満了となった世帯では、すでにスマートメーターが設置されていることがあります。

前述のように、電力会社を切り替えるためにはスマートメーターの設置が必要となります。そのため、電力量計が旧型の世帯では、電力会社変更の申し込みをすると自動的にスマートメーター設置の手続きも進められます。

基本的に、スマートメーターの設置は無料で行われます。また、電力量計は電力会社のものであるため、スマートメーターの設置に賃貸主などの許可は必要ありません。

スマートメーターを設置するメリット

前述のように、スマートメーターは30分ごとに電力使用量を計測します。そのため、世帯における時間ごとの電力使用量が把握できるようになり、より適切な料金プランを選択できるようになります。

例えば、スマートメーターの設置によって、夜間の電力消費量が多いことがわかったとします。すると、夜間の電気料金が安いプランを選ぶことで電気代が節約できるといえます。このようなことから、スマートメーターを設置すると、電力の使用状況が明確にわかるようになるため電気料金が安くなる可能性が高いです。

また、スマートメーターの通信機能によって、世帯に人が在宅しているかどうかを推測できるようになります。これによって、一人世帯の高齢者の緊急時などがわかりやすくなります。実際に、安心見守りサービスとしてこのようなサービスを提供している電力会社があります。

このように、スマートメーターの設置にはさまざまなメリットがあります。一方で、スマートメーターを設置すると、少なからずデメリットも発生します。

スマートメーター設置のデメリット

前述のように、スマートメーターを設置すると、通信機能によって在宅の有無などがわかりやすくなります。つまり、世帯の状況がスマートメーターによってわかりやすくなるのです。

このような情報は、前に述べたように有用性の高いものです。ただ一方で、情報が漏洩した際のリスクがあります。

スマートメーターが収集した情報は、契約している電力会社に集約されます。そのため、情報を悪用しようとする者が電力会社のセキュリティを破ってしまうと、電力の使用状況情報が犯罪に利用されてしまう可能性があります。

例えば、電力消費量が極端に低下する時間帯は世帯に人がいない可能性が高い時間です。このような時間は、空き巣などの犯罪が起こりやすいといえます。また、電力消費量や時間帯によって家族の人数や世帯状況などを推測できます。これは企業の営業活動などに利用できるため、さまざまな会社にとって有用な情報です。

このように、スマートメーターを設置すると、個人情報の漏洩リスクが発生します。

ただ、政府は2024年までにスマートメーターを全世帯に設置させるとしています。つまり、いずれは必ずスマートメーターに切り替えられるということです。そのため、前述のような情報漏洩リスクはいずれ身近になるといえます。

このように、スマートメーターの設置にはさまざまなメリットがある一方でデメリットも存在します。そのため、これまでに述べたような情報を踏まえた上で、電力量計切り替えの検討をおすすめします。

電気料金の節約方法:HEMSの導入

なお、スマートメーターは「HEMS(ヘムス)」による電力管理を可能にします。HEMSを利用することで、より電力消費量を減らして節約することが可能なのです。

HEMS(ヘムス)とは、「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の頭文字をとったもので、家庭内の家電をインターネットに接続して一括で管理するシステムのことをいいます。

具体的には、HEMS機器と冷蔵庫やエアコン、給湯器などを有線や無線で接続し、それぞれの電力消費量を計測したり自動で制御したりします。そして、専用端末やスマートフォンなどでは、収集した電力消費量データの確認やそれぞれの家電の制御が行えるようになります。

また、HEMSの中には、天候情報を受け取って太陽光発電と蓄電池を自動制御する機能がある機器もあります。例えば、太陽光発電が難しい曇りや雨などの予報を受信すると、「電気料金の安い前日の夜間のうちに電気を溜めておく」ように蓄電池をコントロールします。

このように、HEMSは電力消費の適正化に有効なため、導入すると電気料金が安くなることが期待できます。また、HEMSが普及すると国全体の電力消費量が削減されるため、政府は2030年までにすべての世帯へHEMSを導入することを目標としています。

HEMS導入のデメリット

HEMS機器は、家電メーカーによって販売されています。これらはそれぞれ異なった特徴がありますが、どの会社のものも同じ会社の家電でないと接続ができなかったり、他社家電との接続に専用の機器が必要だったりします。

ただ、家の家電を同一メーカーに揃えている家庭は多くありません。そのため、HEMS導入のためには家電メーカーを揃えたり付属品を購入したりするなど、高額の初期費用が必要となります。

さらに、HEMS機器自体も高額です。安いものでも5万円台からとなっており、30万円台のものもあります。その上、HEMSの設置にも費用がかかります。そのため、HEMSの導入にはかなりお金がかかるといえます。

また、前述のように、HEMSとは家の家電をインターネットに接続するシステムのことです。つまり、インターネット上で世帯の家電使用状況をだれでも確認できるということです。そのため、ログインパスワードを簡易なものに設定すると他者がログインして個人情報が漏洩する危険性があります。

このように、HEMSの導入にはさまざまなデメリットを伴います。ただ、HEMS自体は有能なシステムであるため、以下に述べるようなポイントを踏まえて導入を検討してみることをおすすめします。

HEMS導入のポイント

前述のとおり、HEMS導入の大きなデメリットは高額な初期費用です。ただ、家を新築で建てる場合、家電などを一括導入することでこのような初期費用を安く抑えられることがあります。

例えば、太陽光発電システムや蓄電池を設置して新築戸建を建てるとき、同じタイミングでHEMSを導入するとこれらを同一メーカーで揃えることができるため、接続機器を別途に購入する必要がなくなります。

また、特定の団体や自治体では、HEMS導入の際に補助金を出して普及を促しています。このような補助金を利用することで、HEMS導入の初期費用を抑えることができます。さらに、2030年までの普及を目指していることから、国によるHEMS導入の補助金制度が始まる可能性もあります。

このような補助金制度は、年や年度が変わるごとに変化します。そのため、損をしないためにはこれらの情報に注意深く耳を傾ける必要があります。

これまでに述べたように、HEMSを導入すると消費電力量を削減することができるため、家計や環境にやさしい生活をおくることができるようになります。

そのため、家電メーカーが揃っていたり新築戸建の建築予定があったりする人は、HEMSを導入することをおすすめします。また、今現在の導入が厳しい世帯も、これまでに述べたような情報をもとに今後の動向をチェックすることで最適なタイミングでHEMSを導入できるはずです。