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多くの人が電気代を安くしたいと思っています。高価な省エネ家電の売り上げは年々上昇し続けており、多くの人に電気節約のための生活習慣が身についています。

このような電気代節約の手段として、電力会社の変更があります。電力自由化以前は、特定の電力会社と契約する必要があったため、電力会社による電気料金の差はほぼありませんでした。ただ、電力自由化で多数の会社が電力業界に参入したことによって、消費者が選べる料金プランが多様化しています。

料金プランの多様化は、消費者がライフスタイルに合った会社を選べるようになった一方で、実際の選択行動を困難にしています。また、電気の単位や電気料金の計算方法は一般的な知識ではないため、電力会社の提示する料金プランを見てもお得かどうか判断しにくいです。

そこで、ここでは電気の単位や電気料金の計算方法、さらにはセット割やポイントサービスについてまで解説していきます。

電気料金の計算方法

一般的な電気料金の計算は、「基本料金+電力量料金」で求められます。基本料金とは、電気の使用量にかかわらず発生する料金です。

地域電力会社のうち、北海道電力や東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、九州電力の6社では、アンペア制による基本料金となっています。

契約アンペアについて確認する

アンペア制の基本料金では、契約するアンペア数が大きくなるにつれて基本料金が高くなります。例えば、東京電力だと、10Aでの基本料金は280.8円、30Aでの基本料金は842.4円となっています。

アンペアとは、電流の単位のことです。電気を水に例えると電流とは流れている水のことであり、アンペアとは流れている水を数えるための単位ということになります。

このようなことから、契約アンペアが大きいということはそれだけ多くの電気を流せるということになります。具体的にいうと、契約アンペアが大きいほど一度に稼働できる家電の数が多くなります。

一方で、契約アンペアが少ないと、電子レンジやドライヤーなどの家電を同時にたくさん使うとブレイカーが落ちて、家の中に電気が流れなくなります。

電気料金は段階的に高くなる

また、電力量料金では段階制度が設けられています。これは、消費電力の段階に応じて電気単価が変わるというものです。例えば東京電力の場合、120kWhまでの電力量料金は1kWhあたり19.43円であるのに対して、121~300kWhでは25.91円、301kWhを超えると29.93円になります。

kWh(キロワットアワー)とは、1時間あたりの消費電力量を測る単位です。kWhを水の流れに例えると、1時間で流れた水の量ということになります。

前述のように、電気料金は「基本料金+電力量料金」です。これまでに述べたような情報から実際に電気代を計算すると、東京電力と30Aで契約している世帯が月に290kWh使用した場合の電気料金は「842.4(基本料金) + (120 × 19.43) + (170 × 25.91)(電力量料金) = 7578.7円」となります。

この金額に燃料費調整や再エネ発電賦課金、消費税などが加わったものが電気代として請求されます。

アンペア制のない地域が存在する

また、上記6社以外の地域電力会社では、アンペア制が導入されておらず基本料金が一律となっています。そのため、関西電力や中国電力、四国電力、沖縄電力の4社での電気料金は「一律の基本料金 + 段階式の電力量料金」で計算できます。

このように、電気料金の計算方法は複雑なため、電力会社切り替えのために電気料金を自分で計算することは困難です。そのため、実際に電力会社を切り替えるときには、各電力会社ホームページにある「料金シミュレーター」を利用することをおすすめします。

ただ、前述のような情報は電気代の節約のために必要な知識です。特に、アンペア制が導入されている料金プランでは、契約するアンペアによって電気料金が大きく変わります。そのため、これまでに述べたような電気に関わる基本的な知識を蓄えて、賢い判断を行えるようになりましょう。

料金プランの選び方:セット割のメリットとデメリット

ただ、電力会社を変更するときは他にも考慮すべき点があります。それが、セット割です。現在では電力会社だけではなく、通信会社や旅行会社などの他業種の会社に対しても電力の契約をすることが可能となりました。

このようなもともと他業種で経営していた会社は、自社商品との抱き合わせで電力を販売しているケースが多いです。例えば、通信会社であるソフトバンクは、携帯電話やインターネットの通信料とのセット料金を打ち出しています。また、旅行会社であるH.I.S.は、旅行代金とのセット料金を提示しています。

このような料金体系は、それぞれのユーザーにとってはメリットが多いように思えます。前述の例でいえば、ソフトバンクの携帯電話を持っている人や旅行をたくさん行う人には、それぞれの電力セット割を選ぶことによって家計への負担が減ると思われます。

ただ、セット料金には料金が高くなるリスクを伴います。そこで、電力セット割のメリットとデメリットについて解説していきます。

セット料金のメリット

前述のように、セット料金には価格が安くなるメリットがあります。そのため、電力業界に参入している会社であって、すでに携帯電話料金など他業種での契約をしている会社があれば、切り替えることで電気料金はほぼ確実に安くなるといえます。

また、電力会社の切り替えを機に他の契約も見直すことで得をすることがあります。例えば、通信会社であるソフトバンクやauはともに電力業界に参入しています。そのため、携帯電話がこれ以外の会社であれば、電力とともに携帯電話の契約も見直すことで家計の負担が軽くなることがあるのです。

他にも、集合住宅によってはマンションが一括でJ-COMと契約しているケースがあります。このような住宅に住んでいれば、電力をJ-COMにまとめることで電気料金が安くなります。

このように、セット料金のメリットは電気料金が大手電力会社よりも安くなりやすい点です。そのため、まずは自分が他業種での契約をしている会社が、電力業界に参入していないか調べてみることをおすすめします。

セット料金のデメリット

前述のように、セット料金には電気料金が安くなるというメリットがあります。一方で、契約する電力会社や契約期間によってはかえって損をするケースがあります。これは、セット料金の多くに契約期間が設けられており、契約期間内での解約によって違約金が発生することがあるためです。

例えば、前述のソフトバンクでは、契約期間満了の2ヶ月前までに解約すると2500円の違約金が発生します。また、H.I.S.では、1年未満の契約解除で9000円の違約金がかかります。

これらの新規参入会社は、全国に電力を供給しているわけではありません。そのため、転勤などによって契約期間内に契約している会社の電力供給エリア外に引っ越すと、解約金が発生してかえって損をすることがあるのです。

また、電気料金とセットになっている他業種の契約にも契約期間が設けられているケースがあります。例えば、ソフトバンクやau、J-COMなどの料金プランには、2年契約の自動更新で契約更新月以外の解約に解約手数料が発生するものがあります。

これら他業種の契約期間は、電気と同時に申し込まないと契約期間にズレが生じます。そのため、解約金なしにセット料金を外すことが困難になります。

例えば、ソフトバンクの携帯電話を2016年2月に契約した場合、偶数年の2月(2018年2月、2020年2月など)以外の解約に解約金がかかります。これとともに、「ソフトバンクでんき(ソフトバンクの家庭向け電力小売サービス)」を携帯電話とセット料金で2016年5月に契約すると、偶数年の3~5月(2018年3~5月、2020年3~5月など)以外の解約に解約金が発生します。

この例だと、会社の規約が変わらない限りどのタイミングで解約しても違約金が発生します。

このように、契約期間の相違によって解約金の発生期間が異なると、違約金なしに解約することが困難になります。すると、他の電力会社で安いプランが出てきても、簡単には契約を変更できなくなります。

これまでに述べたように、セット割の適用には安くなるというメリットと違約金によるデメリットがあります。そのため、電力会社と契約するときは契約内容をしっかり確認し、安いと思って契約した結果が裏目に出ないように賢く判断しましょう。

ポイントサービスから考える電力会社の選び方

他にも、ポイントサービスまで考えて電力会社を選ぶことも重要です。電力会社のサービスの1つに、ポイントサービスがあります。これは、電気代に応じて支払い時などに使用できるポイントが溜まるというものです。ポイント制度は、新規参入の電力会社だけではなく既存の地域電力会社でも採用されています。

多くの電力会社がポイントサービスを取り入れているのは、ポイントにお得感を感じる人が多いためです。そして、多くの人が電力会社を選ぶ際に「お得かどうか」で判断します。つまり、ポイント制度を取り入れた電力会社は顧客を取り込みやすいといえます。

ただ実際には、ポイントサービスのみで電力会社を選ぶと、結果として損をしてしまうことが多いです。

電力各社のポイント利率

前述のように、多くの電力会社が電気代に応じてポイントを付与しています。例えば、東京電力では電気料金1000円につき5ポイントがTポイントカードやPontaカードに付与されます。また、三菱商事とローソンが提携して電力を供給している「MCリテールエナジー」では、電気料金1000円ごとに10ポイントがPontaカードに付与されます。

このように付与されるTポイントやPontaポイントは、提携店での支払いに1ポイント1円として使用できます。つまり、上記の例では、東京電力のポイント付与は0.5%のキャッシュバックに相当し、MCリテールエナジーのポイント付与は1%のキャッシュバックに相当します。

一方で、大手旅行会社のHISではポイントサービスを行っていません。そのため、HISと電力契約しても、ポイント付与によるキャッシュバックはありません。

ただ、HISの電気料金は地域電力会社の料金から一律5%値引いた価格になっています。つまり、HISと電力契約すると、東京電力など地域電力会社との契約時よりも電気料金が5%安くなるのです。

これに対して、前述のように電力会社が行っているポイントサービスの多くが、電気料金に対して0.5%~1.5%のポイント付与です。このことから、ポイントサービスの有無で電力会社を選ぶよりも電気料金が安い会社と契約するほうがお得になりやすいといえます。

1ポイント=1円にならないポイントサービスがある

前述のように、ポイントサービスでは1ポイント1円に換算できることが多いです。ただ、ポイントサービスによっては1ポイントあたりの価格が1円より安くなることがあります。

例えば、東京ガスや関西電力、北海道電力はそれぞれ独自のポイントサービスを行っています。これらの会社で溜めたポイントは、商品との交換や抽選、Tポイントや楽天など提携サービスのポイントとの交換などに利用できます。

このようなポイント同士の交換では、交換レートが異なるケースがあります。例えば、関西電力では電気料金に対して0.5%の「はぴeポイント」が付与されます。これを1ポイント1円相当の「楽天ポイント」に交換するとき、「1000はぴeポイント」が「800楽天ポイント」になります。

このような交換レートで楽天ポイントに交換すると、はぴeポイントは1ポイント=0.8円となります。そのため、楽天ポイントに交換することを前提とすると、関西電力の電気料金に対するキャッシュバック率は0.4%になります。

前述のように、HISでは関西電力の電気料金より5%安い価格を設定しています。これに対して、関西電力のポイントによるキャッシュバックは、電気料金の0.4~0.5%です。これらを比べたとき、どちらがお得かは明白です。

このようなことから、家計負担を軽くするために電力会社を選ぶのであれば、ポイントサービスを優先して選択すべきではないといえます。そのため、これまでに述べたような事実を認識し、ポイントサービスによる選択は電力会社の電気料金が同じ程度のときなど、補助的な基準にするのが賢明です。