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2016年4月の電力自由化によって価格競争が起こり、電気料金は安くなっています。特に、新規に参入した電力会社の電気料金は従来と比べて安い傾向が強く、多くの人が電力会社を変えることで電気代を下げられる状況になっています。

実際に、電気代が安くなるなら電力会社を変えたいという人は多いです。ただ、ほとんどの人が、世帯の電気代が平均に比べてどの程度の水準なのかを知りません。そのため、乗り換えによってどれほど安くなるのかイメージがつきにくく、電力会社を変更するまでに至らないという人が多いです。

また、さまざまな会社が電力業界に参入したことによって、料金プランが多様化しています。そのため、世帯に最適な料金プランを選ぶことが困難なため電力会社の切り替えを見送っている人も多いといわれています。

そこで、ここでは各世帯の電気代平均と電気使用状況による電力会社の選び方について解説していきます。

各世帯の電気代平均

総務省の統計によると、2015年における年間の電気代平均額は、2人世帯で11万7156円、3人世帯で13万5552円、4人世帯で14万2116円、5人世帯で16万4376円となっています。

これを月ごとの平均にすると、2人世帯は9763円、3人世帯は1万1296円、4人世帯で1万1843円、5人世帯で1万3698円となります。ただ、電力の使用量は季節によって異なるため、消費電力が多い季節には電気代が高くなりやすいです。

例えば、関東や関西などでは、夏と冬に消費電力量が増加します。特に、夏には使用量がピークを迎えるため、電気代は上記の平均額よりも高くなります。また、東北や北海道などは夏の電力消費量は少ない一方で冬の使用量が多く、電気代もそれに応じて高くなります。

また、このデータは集合住宅と戸建てを合わせた統計であるため、集合住宅の世帯の電気代平均額はこれより低くなります。一方で、戸建て住宅では光熱費が高くなる傾向にあるため、上記の平均額より電気代が高くなりやすいです。

このようなことから、平均との比較は年間の電気代で行うのが大切です。このとき、もし請求書などを捨てていても、電力会社のホームページで過去の電気代を確認することができます。また、各電力会社ホームページにある料金シミュレーターを利用すると、最近の電気代を入力するだけで年間電気代の概算がわかります。ただ、これはあくまで概算であり正確な数値ではないため、電力会社のホームページで確認するのが確実です。

電気代平均額による電力会社の選び方

前述のように、電力各社が提供している料金プランはさまざまです。このようなプランのうち、電気代が安くなる料金プランには大きく分けて「電気料金単価の値下げ」と「セット割などによる定額割引」の2種類があります。

電気料金単価の値下げとは、電力単位ごとの価格を安くするという料金プランのことです。例えば、東京電力が120kWhまでの電気料金が1kWhあたり19.43円なのに対して、旅行会社大手のHISでは同じ条件の電気料金が1kwhあたり18.46円となっています。

このような料金プランでは、電力使用量が多くなるほど電気代が安くなりやすいです。具体的には、4~5人世帯などの多人数世帯や電気代が平均より高い世帯は、電気料金の単純な値下げプランで契約すると電気代が安くなりやすいのです。

一方で、セット割などによる定額割引では、電力の使用量に限らず毎月決まった金額を電気料金から値引きます。例えば、ソフトバンクでは電気と携帯電話やインターネットをセットで契約すると全体で200円の割引をしています。

前述の料金単価の値下げでは、電力使用量が少ないと世帯の電気代に反映されにくくお得になる金額が少ないです。そのため、1~2人世帯や電気代が平均より低い世帯などは、定額割引で契約する方がお得になりやすいといえます。

料金プランは多様化していて選択が困難になっています。そのため、判断を誤ると、電気代を節約するつもりで電力会社を変更してもかえって電気料金が高くなることがあります。

そのようなことを防ぐためにも、これまでに述べたような情報から、世帯の電気代が平均と比べてどうなのかを把握することをおすすめします。そうすることで、世帯に適切な電力会社を選ぶことができるため電気代を節約できるでしょう。

一人暮らし世帯の電力会社選びのコツ

なお、一人暮らし世帯では消費電力量が少なくなりやすいためお得な料金プランが作られにくく、電気代を節約するための電力会社選びを行いにくいです。ただ、ポイントを押さえて選択することで、一人世帯でも契約変更によって電気代を安くすることができます。

総務省統計によると、2015年における34歳以下一人暮らしの電気代平均は1年で3万9079円となっています。これは、一ヶ月あたり3257円という計算になります。実際には、季節によって消費電力量が変わるため、冷暖房費がかさむ夏や冬の電気代はこれより高くなります。

電気代を安くするための電力会社選びの基準は、大きく分けて「電気料金」「セット割」「ポイントサービス」の3種類があります。

一人暮らしによる電力を安くするポイント

電気料金が安いプランでは、電気料金が従来の電力会社より安く設定されています。例えば、旅行会社大手のHISは、地域電力会社の電気料金から一律5%を値引いた価格を設定しています。

セット割の料金プランでは、電力会社が提供する他の商品と一緒に電力契約をすることで、毎月一定の金額が値引きされます。例えば、通信会社大手のソフトバンクでは、携帯電話、インターネットと電気料金をセットで契約すると、まとめて200円の割引を受けられます。

これら2つの新電力会社を前述の平均電気代で比較した場合、HISと契約すると月3257円の電気代が、ソフトバンクでは月3094円になります。このときの差額は163円であるため、ソフトバンクのセット割を利用する方がお得になります。

一方で、電気代が4000円を超えると、HISと契約したときに安くなる電気代が200円を超えます。つまり、この2社を比べたときでは、電気代が月4000円を超える水準であればHISの安い電気料金で契約するほうがお得ということです。

生活リズムにあわせて料金プランを選ぶ

また、生活リズムが夜型の人や昼間に家を留守にすることが多い人では、夜型の料金プランを選ぶことで電気代が安くなります。例えば、東京電力の夜トク12プランでは、通常プランに比べて夜間の電気料金が25%程度安いです。

ただ、このようなプランは昼間の電気料金がかなり割高になるため、休日昼間などに電気をたくさん使うことがある人は注意が必要です。

さらに、電力会社が提供するポイントサービスでは、電気料金に応じて溜まるポイントをTポイントやPontaポイントなどに利用できます。ただ、どの会社も電力料金に対するポイント率は0.5~1%程度です。

そのため、電力会社はポイントサービスではなく、電気料金の割引率で検討することが大切です。これらを複数社検討した結果、契約変更後の電気料金が同じ水準になるときなどに、ポイントが貯まりやすい方の電力会社を選ぶとよいでしょう。

前述のとおり、一人暮らし世帯にお得なプランは作られにくいです。ただ、これまでに述べたようなコツを押さえて電力会社を選ぶと、一人暮らし世帯でも電気代を節約することができます。そのため、まずは現状や電気代を把握して上手に電力会社を選ぶことが大切です。

高齢一人世帯の見守りプラン

それでは、一人暮らしの中でも高齢者に対してはどのように考えればいいのでしょうか。

現在、高齢者の単身世帯は増え続けています。一人暮らしを行っている高齢者は、一人でも生活を送れるだけの元気があります。ただ、このような人でもまったく病院にかからないほど健康であるケースは稀です。つまり、一人暮らしを行っている高齢者の多くが持病を抱えながら生活をしているのです。

高齢者が抱える病気には、悪化すると意識の喪失などが起こるものがあります。このような持病を抱えている高齢者が一人暮らしをしていると、緊急時に適切な処理が施されず死に至ってしまうことがあります。

また一般的に、高齢者は若者よりも病気にかかりやすく悪化しやすいです。そのため、風邪や胃炎などが重症化して命の危険に陥ることがあります。

このような事態を防ぐためのサービスが、「高齢者見守りサービス」です。これは、遠くに暮らす家族などが高齢者の行動を確認して、緊急時に素早い対応をできるようにするというサービスです。

高齢者見守りサービスは、さまざまな会社によって行われています。ただ、このようなサービスは高額の費用を必要としたり通知が定期的で緊急時に間に合わなかったりすることがあるため、需要の割に利用している人が少ないといわれています。

電力会社による高齢者見守りサービスのメリット

前述のように、高齢者見守りサービスには各社さまざまな特徴があります。このうち、電力会社による高齢者見守りサービスの中では、電気の使用量で高齢者の異常を発見するというプランがあります。

電力会社の切り替えを行うと、電力量計が自動的に「スマートメーター」になります。従来の電力量計は、使用量に応じて回転盤が回るアナログ式のものでした。これに対して、スマートメーターは通信機能を備えたデジタル式の電力量計です。

自宅の電力量計がスマートメーターになると、使用電力が30分ごとに電力会社へ通知されます。電力会社の高齢者見守りサービスは、このようなスマートメーターの通信機能を利用したものです。

30分ごとの使用電力がわかると、電力消費量の急激な低下などによって高齢者の緊急時が判明しやすくなります。そして、このような情報を遠くに暮らす家族にメールなどで通知することによって、一人世帯の高齢者を守ることができます。

前述のように、高齢者見守りサービスの中には機械の設置などによって高額の費用がかかるものがあります。一方で、電気の使用量による高齢者見守りサービスでは、新たに機械を設置する必要がないため初期費用をかけずに始めることができます。

また、このようなサービスを行っている会社でも電気料金は他と大差ないことが多いです。そのため、電力会社による高齢者見守りサービスを利用しても電気料金が極端に高くなるということはありません。

電力会社による高齢者見守りサービスのデメリット

前述のように、電力会社による高齢者見守りサービスには、費用が安く手軽なため始めやすいというメリットがあります。ただ、基本的に電力会社の変更は契約者本人ではないと行えません。そのため、高齢者見守りサービスを利用するためには、高齢者本人が電力会社の変更を行う必要があります。

ただ、契約の変更は高齢者にとって面倒で億劫なものです。そのため、高齢者本人が見守りサービス利用のために一人で電力会社を変更することは難しいです。そのため、電力会社の高齢者見守りサービスを利用するためには、家族が高齢者の手続きをフォローする必要があります。

また、電力会社によっては、契約者からの委任状があれば家族が契約を代わりに行える場合もあります。このような仕組みを利用すると高齢の契約者が窓口に出向く必要がないため、電力会社の高齢者見守りサービスを利用しやすくなります。

どうしても高齢の契約者が契約変更を嫌がる場合は、企業のホームページで日々の消費電力を確認するという手もあります。ただ、インターネット上で消費電力を確認するためには契約情報が必要です。そのため、本人の同意を得て契約情報を確認し、見守りを行うことが必要です。

ただ、インターネット上で時間ごとの電力使用量を確認するためには、スマートメーターの設置が必須です。スマートメーターの設置は地域電力会社に依頼するだけで費用不要で行えますので、特別な理由がなければ設置をおすすめします。

このように、電力会社を変更すると、電気代を節約するだけではなく遠くに暮らす家族を守ることができるようになります。そのため、家族に一人暮らしの高齢者がいる人は、これまでに述べたような情報を元にしっかり話し合いを行い、電力会社の切り替えを検討しましょう。

電力会社の切替方法:マンションやアパートの場合

それでは、マンションやアパートに住んでいる人はどのようにすればいいのでほうか。一軒家を所有している人は、その持ち主が切り替えの判断を行うことができます。一方で、マンションやアパートなどの集合住宅や賃貸住宅に居住している人は、電力量計の変更権利がどこにあるかわかりづらいため、電力会社を勝手に変更できないと思っている人が多いです。

実際には、集合住宅や賃貸住宅に住んでいる人でもスマートメーターを設置して電力会社を変更することができます。ただ、マンションの電力契約状態によっては、個人で判断できない場合もあります。

そこで、マンションやアパートなどにおける電力会社の切替方法について解説していきます。

スマートメーターへの変更に許可は必要ない

前述のように、電力会社の変更にはスマートメーターへの切り替えが必須です。このような電力量計の持ち主は電力会社であり、賃貸主や管理会社などではありません。そのため、スマートメーターへの切り替えに大家の承諾は必要ありません。

ただ、集合住宅の中でも規模の大きいマンションなどでは、電気の契約を「一括受電契約」にしている場合があります。一括受電契約とは、マンションの住民が個人で電力会社を契約せずにマンションを管理している会社などが一括で電力会社と契約することです。一般的に、一括受電契約での電気料金は個別契約に比べて安くなりやすいです。

居住しているマンションがこのように電力を一括で契約していると、電力量計をスマートメーターに切り替えても電力会社の変更ができません。そのため、電力会社の切り替えを考えているマンションの居住者は、世帯の電気契約がどのようになっているかを確認する必要があります。

マンションが一括受電契約している場合、電力会社ではなくマンションの管理会社やオーナーから電気料金の請求がきます。どこから請求がきているかわからない場合は、管理会社に確認してみることをおすすめします。

一方で、このような一括受電契約を行っていない集合住宅に居住している人は、賃貸マンションであっても電力会社の変更が可能です。そのため、世帯の電力使用状況や家計を確認して、切り替えを検討してみることをおすすめします。

一括受電契約のマンション居住者は個別契約が不可能なのか

前述のように、一括受電契約を行っている住宅に住んでいる場合、基本的には個別で電力会社と契約することはできません。ただ、ライフスタイルによっては個別契約の方が大きく安くなる場合も考えられますし、電力会社の変更を望むこともあります。

このような場合、一括受電契約の契約者であるマンションの管理者やオーナーなどに問い合わせる必要があります。

ただ、一括受電契約では「居住者全員」という大口で契約する代わりに電気料金が格安になっています。そのため、少数の居住者が変更の希望をしても、その他の居住者が望まない場合は契約方法の変更はできません。

一方で、電力自由化によって選択できる電力会社や料金プランが多様化しました。これにともなって、一括受電契約に比べて個別契約のほうが得をするケースが増えると考えられます。

「個別契約をしたい」と考えている世帯が増えると、オーナーや管理者は契約方法の変更を検討する可能性があります。そのため、まずは自分を含め周りの世帯の希望を大家に伝えてみることが大切です。

電力会社を切り替えると、多くの場合で電気料金が下がります。また、スマートメーターの設置にはお金がかからないですし、電力会社の切り替えによって電力供給が不安定になることもありません。そのため、これまでに述べたような情報を仕入れて、ライフスタイルに適した電力会社と賢く契約しましょう。

セット割利用の注意点:滞納時に費用が発生することがある

なお、電力会社の切り替え時には注意すべき点も存在します。例えば、セット割には料金が安くなるメリットとともにデメリットも存在します。特に、支払いを忘れて滞納したときには注意が必要です。

そこで、電気のセット割利用中に料金を滞納した時の注意点について確認していきます。

電気料金を滞納した時はどうなる?

電気は命に関わるインフラです。そのため、電気料金を滞納してもただちに供給が止まるということはありません。ただ、電気料金の滞納が長期に及ぶと、電気の供給は止まります。

電力自由化以前に全世帯が契約していた地域の電力会社の場合、電気料金を1ヶ月分滞納すると翌月の電気料金に滞納した分が上乗せされて請求されます。例えば、4月請求分の電気料金を滞納すると、5月に請求される電気料金は「4+5月分」ということになります。

さらに、これを払わず電気料金の滞納が2ヶ月分になると、支払いの振込用紙とともに電気の供給停止のお知らせが届きます。そして、この通知が届いた約15日後に電気の供給が止まります。

このように、電気料金を滞納してもしばらくは電気を使用できます。上記の例だと、支払いが遅れてから電気の供給が止まるまでに1ヶ月半程度の猶予があることになります。

電力自由化を機に参入した新電力会社では、前述の例と同様に契約解除の15日前までに通知がきます。ただ、料金滞納から解約までの期間がそれぞれの会社で異なるため、1ヶ月半より早く契約が解除される可能性があります。

セット割利用中に電気料金を滞納するとどうなる?

前述のとおり、電気料金を滞納するといずれは電力会社から解約されます。地域電力会社の場合、電気料金を滞納すると延滞料金と電気の供給停止が発生します。一方で、セット割などを提供している新電力会社と契約していると、延滞料金とは別に費用がかかるケースがあります。

通常、新電力会社が提供しているセット割には契約期間が設けられています。そして、契約期間中に解約すると解約違約金がかかることが多いです。つまり、セット割での契約中に払い忘れなどで電気料金を滞納すると、電気が止まるだけでなく解約金を請求されることがあるのです。

電力供給の最終保証サービス

電気の送配電を行っている地域電力会社には、電力の供給を最終保証する義務が課せられています。これは、なんらかの理由によって電力の供給が行われない消費者に電力の供給を保証するというものです。

この制度は、電気料金を滞納して新電力会社に解約された際にも適用されます。そのため、滞納によって新電力会社に解約されても、地域電力会社に申し込めば電力の供給が行われるようになります。

ただ前述のように、地域電力会社との契約中に電気料金を滞納すると再度電力の供給は止まります。また、新電力会社の電気料金を滞納して解約となっても、滞納した料金の支払い義務がなくなることはありません。そのため、当然のことながら、電気を安定して使うためには電気料金を滞納しないことが必要です。

このように、新電力会社のセット割利用中にうっかり電気料金を滞納すると、高額の違約金が発生する可能性があります。また、電気料金をクレジット払いにしていると、滞納データが蓄積されてクレジット経歴に傷がつくことがあります。そのため、忙しくても料金の払い忘れなどが起こらないように、余裕のある生活を行うことが大切です。