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現在の日本では、全国どこでも安定して電気を使うことができます。このような安定した電力を支えている柱の1つが、各地にある多数の発電所です。

そして、日本にはさまざまな種類の発電所があります。その中でも、火力発電所は日本における電力供給の主力となっています。

そこで、ここではさまざまな発電方法のうち、火力発電について解説していきます。

火力発電とは

電気を作るためには、熱の持つ力(熱エネルギー)や物が動いたときの力(運動エネルギー)、物の高さの力(位置エネルギー)などの、さまざまなエネルギーを電気エネルギーに転換する必要があります。このような、電気エネルギーの源になる物質のことを「電源」といいます。

火力発電は、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を電源とする発電方法です。この発電方法では、燃料を燃焼したときに発生する熱エネルギーを電気エネルギーに転換して電力を作っています。

火力発電は燃料量の増減によって出力が変化するため、発電量の調整が行いやすいというメリットがあります。一方で、この発電方法では、燃料を燃やすことによる二酸化炭素の排出を伴います。

二酸化炭素は、地球温暖化における原因物質の1つであるとされており、世界的な問題となっています。このようなことから、火力発電のデメリットは「二酸化炭素を排出するため地球温暖化の原因となること」といえます。

また、日本では火力発電のための燃料調達のほとんどを輸入に頼っています。そのため、火力による電気の価格は、海外の情勢に大きく左右されます。

さらに、新興国の発展によって化石燃料の世界的需要は年々高まっている一方で、採掘できる量には限りがあります。このようなことから、今後化石燃料の価格は徐々に上がっていくといわれています。

このようにして化石燃料の価格が上がると、これらを電源とする火力発電による電気は高騰します。つまり、長い目で見ると、火力発電による電気の価格は、高くなる可能性が高いということです。

また、燃料を海外から調達するということは、日本のお金が海外に流れるということです。このようにして失ったお金を取り戻すためは、輸出によって海外に日本の物を売る必要があります。

ただ、新興国が発展すると、それらの国は日本の輸出産業においてのライバルとなります。このような状況下で、輸出によって日本がお金を稼ぐことは簡単ではありません。そのため、火力発電所がたくさん稼動すると、日本が失うお金の額が多くなるため、その分だけ経済的損失が大きくなります。

このように、火力発電は電力を調達しやすいというメリットがある一方で、さまざまなデメリットがあります。ただ、2011年の原発事故以降、原子力発電所が廃炉となったり稼動を停止していたりしているため、これを補うために多くの火力発電所が稼働しています。そのため、現在は火力発電が日本における発電量の約6割を担っており、電力供給の主力となっています。

火力発電の歴史

1950年代の日本では、水力発電が日本における電力供給の主力でした。これは、日本には山や川が多く、水力による発電が他に比べて比較的容易であったためです。

その後、日本が発達するにつれて石油の輸入量が増え、火力発電の導入が進んでいきました。そして、1962年に、発電電力量で火力発電が水力発電を上回りました。

1970年代前半の火力発電は、ほとんどが石油を電源としていました。ただ、1970年代に2度起こったオイルショックによって、石油の代わりに石炭や天然ガスなどが利用されるようになりました。

そして、石油火力による発電所は、1979年に新たな建設を禁止されました。このようなこともあり、石油による発電の供給割合は原発事故の翌年に一旦上昇したものの、右肩下がりの状態が続いています。

火力発電の仕組み

前述のように、火力発電は燃料を燃やして電気を作ります。火力発電の中でもっとも一般的な発電方法である「汽力発電」では、化石燃料を燃やした熱で水を沸騰させて、その蒸気によってタービンを回します。そして、タービンが回ることによって発電機が動き、電気が作られるという仕組みになっています。

タービンを回した蒸気は、復水器の中で冷やされて水に戻ります。そして、この水が再び加熱されて蒸気になり、タービンを回して電気を作ります。汽力発電は、このようなサイクルを繰り返して発電を行います。

復水器を冷やして蒸気を水に戻すためには、大量の水を必要とします。そのため、火力発電所の多くは、海の近くに建設されています。

また、火力発電には、蒸気の代わりに高温のガスでタービンを回す「ガスタービン発電」という発電方法もあります。この発電方法は、汽力発電に比べて設備が小型で済みます。また、ガスタービン発電は高い出力を出せるため、多くの電気を作ることができます。

そして、近年では蒸気タービンとガスタービン発電を組み合わせた「コンバインドサイクル発電」の導入が進んでいます。この発電方法では、高温のガスでガスタービンを回し、その余熱で蒸気を作って蒸気タービンを回します。

この発電方法では、1回のサイクルで2回タービンが回るため、従来の火力発電に比べて効率よく発電することができます。具体的には、従来における火力発電の熱効率が約40%だったのに対して、コンバインドサイクル発電の熱効率は約60%となっています。

このように効率よく発電ができると、その分だけ発電コストが低くなります。また、発電のための燃料量が少なくて済むため、従来の発電方法に比べて二酸化炭素排出量も少なくなります。このようなことから、多くの電力会社がコンバインドサイクル発電を採用し始めています。そのため、今後、火力発電による電気の価格は少しずつ下落していくといわれています。

燃料の種類と特性

前述のように、火力発電は石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を電源としています。以下に、それぞれの特性について述べていきます。

石油

前に述べた通り、1970年代前半は石油による発電が活発に行われていました。そして、その後石油による発電量は年々低下しています。ただ、現在でも石油による発電は行われています。

石油による発電は、急な電力需要に対応する電源である「ピーク電源」とされています。そのため、石油火力の発電所は、電力需要が高まる夏や冬における昼間の電力を補うために稼動しています。

経済産業省のエネルギー庁が公開したデータでは、2013年における石油の発電供給割合は10.6%となっています。つまり、現在の日本で使われている電気の約10%は、石油によるものということです。

ただ、石油の発電コストは、他の燃料に比べて高価です。情勢によって価格は変動しますが、石油での発電には、石炭や天然ガスなどとくらべて約3倍のコストがかかります。そのため、石油火力の発電所が多く稼動すると、電気の価格が高くなりやすいです。

このようなことから、石油火力による発電量は年々低下しています。そのため、現在の日本では、緊急時の電力調達先という立ち位置になっています。

石炭

現在の日本では石炭鉱山はほぼ閉鎖されているため、石炭は過去のエネルギー源だと思っている人は少なくありません。しかし現在でも、石炭による発電は日本における電力の約2割をまかなっています。発電のための石炭は、海外から安価で調達されています。

現代の科学では、化石燃料は人の手で作り出すことができないため、調達できる量に限りがあります。ただ、石炭は化石燃料の中でも特に埋蔵量が多く、130年以上は採掘可能といわれています。

このようなことから、石炭は「ベースロード電源」に採用されています。ベースロード電源とは、季節や昼夜による電力需要量の変化にかかわらず、一定量を発電する電源のことです。

ただ、石炭による発電は、他の燃料に比べて二酸化炭素の排出量が多いという特徴があります。前述のように、二酸化炭素は地球温暖化における原因の1つです。そのため、石炭による発電は地球温暖化対策の足かせとなっているといわれています。

しかし現在、二酸化炭素の回収・貯留技術の開発が進められています。そのため、将来的には、石炭火力発電における「二酸化炭素量の排出量が多い」というデメリットは低くなる可能性があります。

天然ガス

現在の日本では天然ガスによる発電が主力となっており、国内における発電供給量割合の約46%を占めています。天然ガスによる発電は、他の燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少ないという特長があります。また、天然ガスは石炭に比べて多少高価であるものの、石油よりは安価です。

さらに、天然ガスは世界中で採掘できるため、海外情勢の変化による価格変動リスクが石油に比べて低いです。このようなことから、天然ガスによる発電は、需要電力量に応じて発電量を調節するための電源である「ミドル電源」として採用されています。

また、現在は「シェールガス」の採掘技術が発展しており、今後天然ガスの可採埋蔵量が増加する見通しとなっています。そのため、天然ガスの価格が下がることで天然ガスによる電力は安くなることが考えられます。

このように、火力発電には燃料の種類や発電方法によってさまざまな特徴があります。ただ、すべてに共通しているのは「発電量の調整が容易」である一方で、「燃料の調達量に限界がある」ということです。

そのため、長い目で見ると、火力発電はいずれ行えなくなります。このようなことから、現在は電力調達を再生可能エネルギー発電へ転換する動きが高まっています。

2016年の電力自由化によって、一般消費者が価値観に合った発電方法を支持できるようになりました。そして、このような発電事情は消費者の生活に直接関わってくるものです。

そのため、普段使っている電気がどのようにして作られているかをしっかり把握して、責任を持った選択を行いましょう。このような意識を国民全員が持つことで、電力事情や地球環境は改善されていくはずです。