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現代の日本では、全国各地で電気を使用することができます。これによって、人々が便利に暮らしたり、さまざまな経済活動を行ったりすることが可能となっています。

このような電力は、発電所から需要地へ送られています。これを、「送電」といいます。そして、日本の安定した電力供給は、送電の設備や手法などにさまざまな工夫を施すことによって実現されています。

そこで、ここでは日本における送電の仕組みについて解説していきます。

電気が流れる仕組み

人類が初めて電気を認識したのは、紀元前のことでした。ただ、当時の電気は、電気ナマズやシビレエイなどが放出するものや静電気などを指しており、自然現象の1つという扱いでした。つまり、現代とは異なり、電気は人が扱うことができるものではないという認識だったのです。

ただ、長い期間を経て、17~18世紀頃にはこのような電気に関する研究が盛んに行われるようになりました。また、19世紀には電気を作ることができるようになり、電気エネルギーを利用するさまざまな機械が開発されました。

そして、21世紀となった今では、身の回りにおけるさまざまなものが電気で動いており、日常生活に欠かせないものとなっています。

電気を作る電子の流れ

現代における日本人のほとんどは、電気なしで暮らすことができません。電気は、それほど私たちの生活に密着したものとなっています。

例えば、家庭内では、コンセントから流れてくる電気によって、テレビや冷蔵庫、パソコンなどの家電製品が動いたり照明がついたりしています。また、外では、自動車や電車などの乗り物や施設の自動扉、エレベーターなどを動かしています。

さらに、日本人のほとんどが所持している携帯電話や腕時計なども、電池の電力によって作動しています。

このように、電力はさまざまな機械を動かすことができます。そして、電力で作動するこれらの機械は、内部に電流が流れることによって働きます。このような電気の流れは、「電子」が流れることによって発生します。

電子とは

この世の中に存在しているすべてのものは、「原子」という小さな粒で構成されています。そして、このような原子の多くは、他の原子とくっついて自然界に存在しています。例えば、1つの「水素原子」と2つの「酸素原子」が結合すると、「水」になります。また、空気中の酸素は、2つの酸素原子がくっついた状態で存在しています。

このような原子の中心には、「中性子」と「陽子」で構成された「原子核」が存在しています。また、原子核の周りには、「電子」が飛び回っています。これらのうち、陽子は「プラスの電気」を帯びた粒です。これに対して、電子は「マイナスの電気」を帯びています。

このような陽子と電子は、原子の種類によって含まれている個数が異なります。例えば、水素原子はこれらを1個ずつ持っています。また、酸素原子がもつ陽子と電子は8個です。

また、通常の原子には、同じ数の陽子と電子が含まれています。つまり、原子は同じ数の「プラス電気」と「マイナス電気」を持っているのです。そのため、これらがそれぞれ相殺しあうことによって、原子自体は電気を帯びない状態となっています。

ただ、原子の種類によっては、特定の条件下で電気を帯びることがあります。これは、原子には電子を取り込んだり放出したりする性質があるためです。

電子が流れる仕組み

前述のように、電子は原子核の周りを飛び回っており、太陽系と似た構造となっています。例えば、原子核を太陽とすると、周りを回っている電子は地球などの惑星に相当します。

また、電子は一定の軌道に沿って回っています。このような電子の回る軌道を「電子殻」といいます。これを太陽系に例えると、太陽(原子核)の周りを回っている惑星(電子)の通り道が電子殻ということになります。

そして、太陽系では惑星ごとに通り道があるのと同様に、電子殻も大小の異なる円がいくつか重なった状態となっています。このような電子殻は、一番内側を「K殻」とし、外側に向かってアルファベット順に名付けられています。

このように内側の電子殻にアルファベットのKが採用されたのは、電子殻に名前が付けられた当時、さらに内側のものが見つかったときに備えたためです。例えば、K殻よりも内側の電子殻が見つかると、「J殻」や「I殻」などと名付けられるため、内側からアルファベット順にすることができます。とはいえ、その後の研究によって、K殻より内側の電子殻は存在しないことがわかっています。

このような電子殻には、回ることができる電子の数が決まっています。例えば、K殻には2個までの電子しか配置することができません。また、L殻は8個まで、M殻は18個までの電子しか入ることができません。

そして、原子の所持している電子は、内側の殻から埋まっていきます。例えば、酸素原子は、それぞれK殻に2個、L殻に6個の電子が配置されています。

原子は、このような電子殻の一番外側が定員いっぱいになると安定します。このような一番外側の電子殻を「最外殻」といいます。そのため、持っている電子が2個や10個などである原子は、最外殻が電子で満たされているため、安定した状態となっています。

これに対して、最外殻の電子が定員数と一致しない場合は、電子を放出したり取り込んだりすることによって最外殻を満たそうとします。例えば、L殻に7個の電子を持つ原子は、外側から電子を取り込んでL殻に8個の電子を配置しようとします。また、M殻に1個の電子を持つ原子は、電子を1個手放すことによって最外殻を7個の電子を持ったL殻にしようとします。

このとき、このような「電子を取り込みたい原子」と「電子を放出したい原子」が特定の条件下で近くに存在していると、「電子を放出したい原子」が放った電子を「電子を取り込みたい原子」が受け取ります。つまり、このような現象が起こると、この原子同士の間には電子が流れるのです。

前述のように、わたしたちが普段使用している電気は、電子が流れることによって生じます。つまり、電気は原子内の電子が何らかの理由によって移動すると発生するということです。実際に、一般的によく使われている電池では、前述のような電子が行き来する性質を利用して電気を発生させています。

電線が電気を通す仕組み

前述のように、電気とは電子の流れのことをいいます。そのため、家電製品などは、機械の中を電子の粒が流れることによって作動します。そして、このような電子の粒は、電線を通って各需要地に届けられています。

電線は、銅やアルミニウムなどの金属でできています。これは、これら金属が「電子を放出しやすい性質」を持っているためです。

というのも、このような金属原子は、最外殻に配置されている電子の数が少ないです。例えば、金属の中でも特に電気を通しやすい性質を持つ銅や銀などは、最外殻に配置されている電子が1つです。また、アルミニウムは最外殻に3つの電子を所有しています。

前述のように、原子は最外殻における電子の定員が満たされているのが安定した状態です。そのため、最外殻の電子数が少ない金属は、電子を他の物質にあげたり、金属同士で最外殻の電子を共有したりすることによって安定した状態になろうとします。

そして、一般的な金属は、原子間による電子の共有によって結びついて塊となっています。このような金属同士の結合を「金属結合」といいます。

金属結合で結びついている金属は、それぞれの最外殻が重なり合っています。そして、この最外殻上を、共有している電子が自由に動き回ります。このような電子を「自由電子」といいます。

通常、金属内の自由電子は、バラバラの方向に動き回っています。ただ、このような金属に外側から「電子を押し出す力」を受けると、自由電子が同じ方向へ流れていきます。

例えば、銅やアルミニウムなどの金属が、特定の条件下で「電子を放出したい原子」と「電子を取り込みたい原子」の間に挟まるとします。すると、「電子を取り込みたい原子」が金属から電子を受け取り、その分だけ「電子を放出したい原子」の電子が金属に取り込まれます。つまり、このような状況では、「電子を放出したい原子」→金属→「電子を取り込みたい原子」という方向に電子が流れていくのです。

実際に、一般的に使用されている電池は、このような仕組みによって成り立っています。例えば、マンガンやアルカリなど乾電池内のマイナス極には、「電子を放出したい原子」が配置されています。また、プラス極には「電子を取り込みたい原子」が存在しており、これら原子は直に接触しないようになっています。

このような電池のプラス極とマイナス極に金属でできた電線をつなぐと、この間に電子が流れます。そのため、電線の間に電球を入れると、電子が通ることによって電球が光ります。

このように、金属は電気を通しやすいという性質を持っています。正確には、このような性質を持っている原子が「金属」に分類されています。家庭まで電気を届けている電線は、このような金属原子の性質を利用しています。

電気が流れるための回路

前述のように、電池を使用すると、「電子を放出したい原子」と「電子を受け取りたい原子」が電線などによってつながり、電子の受け渡しを行うことによって電気が流れます。これと同様に、一般家庭で使用している電気も、「電子を押し出す力」と「電子を受け取る所」が電線でつながることによって流れています。

家庭や事業所などに電気を送り出している発電所では、「電磁誘導」という仕組みを利用して電子を動かしています。電磁誘導とは、電線など電気を通す物質の近くで磁石を動かすと、電子が動いて電気が流れる現象のことをいいます。

ただ、このような電磁誘導で電子を動かしても、電気は「帰り道がある路」しか通りません。例えば、電池で電球を点灯させようとしたとき、「電池のプラス極→電球→電池のマイナス極」のように、全体を輪のようにして電線をつなぐと電球に電流が流れて光ります。

一方で、電線を電池のプラス極とマイナス極に輪のようにしてつなぎ、線の途中から1本の電線をY字に分岐させて電球に繋いでも、電球は点灯しません。これは、このようなつなぎ方の場合、分岐した電線が電球で行き止まりとなっているため、電子の帰り道がないことがその原因となります。

このように、電気が流れるためには、電線などの電気を通す物質が輪のようにつながり電子の帰り道を用意する必要があります。そして、このようにして繋がった輪を、回路といいます。

前述のように、発電所は電磁誘導で電子を動かすことによって発電しています。つまり、発電所は、前述における例の「電池」に相当します。そのため、発電所で作られた電気を家庭で利用するためには、発電所と需要地を電線で輪のように接続する必要があります。

実際に、発電所と各家庭には、電気が通るための閉じられた道が作られています。そして、このような回路は、コンセントにプラグをつなぐことによって完成します。

これは、前述のような電池の回路に例えると、電線の一部が切断された状態にあたります。そのため、切れた電線同士を結びつけると電気が流れて電球に光が灯るのと同様に、コンセントにプラグを挿入すると発電所と自宅をつなぐ電線が輪のようにつながり、さまざまな機械が使用できるようになります。

自宅に電気が届くまでの道筋

前述のように、電気が流れるためには多くの条件があります。また、有限なエネルギーを節約するためには、発電した電気を効率良く需要地に送る必要があります。そのため、日本の送配電設備には、以下のようなさまざまな工夫が施されています。

電気を効率よく送る工夫

発電所では、電圧が数千~2万ボルト程度の電気が作られています。電圧とは、電気が流れる圧力のことです。例えば、水圧が高いシャワーからは勢い良く水が飛び出るのと同様に、電圧が高いと電気が流れる勢いが強くなります。

このような電圧の電気は、発電所に併設されている「変電所」で27万~50万ボルトの超高電圧まで昇圧されます。これは、電気を効率よく需要地まで送るためです。

というのも、地球上に存在しているすべての物質には、「電気抵抗」があります。これは、電気が流れることを邪魔する力のことを指します。

前述のように、電気の流れとは電子の流れのことをいいます。また、電子が流れる物質には、原子が存在しています。そのため、動いている電子は、物質内の原子にぶつかって流れが妨げられます。

ゴムやガラスなどの「絶縁体」は、このような電子の流れを邪魔するものが多かったり、自由電子の数が少なかったりするため、通常の電圧では電気が流れません。

ただ、電気を通しやすい銀や銅などであっても、電子はこれら原子に流れを邪魔されます。つまり、電線などにも電気抵抗があり、これらを通ることによって電気エネルギーの損失があるのです。

さらに、発電所と各需要地までは、かなりの距離があります。というのも、火力や水力、原子力などの大規模な発電所を作るためには、広い土地や大量の水などが必要です。そのため、これら発電所は、山間部や海沿いに建てられることがほとんどです。

これに対して、電気の主な消費地は人工の多い都市部です。そのため、発電所で作った電気を需要者まで届けるためには、かなり長い電線を使用する必要があります。

ただ、前述のように、電線の素材である銅には、少ないながらも電気抵抗があります。そのため、距離が長くなるほど電子が電線内の原子にぶつかり、電子の持つエネルギーが減っていきます。つまり、電気を遠い地に送ろうとすると、たくさんの電気が無駄に消費されてしまうのです。

このような損失を最小限に抑えるために、発電所で作られた電気は超高電圧に昇圧されます。

というのも、例えば、流れの弱い水は小さな障害物に当たるだけでせき止められたり流れが変わったりします。これに対して、水流の勢いを強くすると、水は障害物の影響を受けづらくなります。

これと同様に、電圧を高くすると、電気抵抗による電気の損失が少なくて済むようになります。そのため、効率良く電気を送るために、発電所で作られた電気は需要所の直前まで適切な高電圧で送られています。

電気を高電圧で送るための工夫

電気には、「直流」と「交流」の2種類があります。直流とは、電気の流れる方向が一定である電気のことです。これに対して交流は、電流の向きが一定時間で入れ替わります。そのため、直流電流では電子が一方方向に流れているのに対して、交流電流は電線の中を電子が行ったり来たりする状態であるといえます。

このような交流における電流の向きは、かなり高速で入れ替わります。例えば、東日本には1秒間で電流の向きが50回入れ替わる電気が供給されています。また、西日本に流れている電気は、1秒間に60回電流の向きが入れ替わります。

このような1秒間に電流の向きが入れ替わる回数は「ヘルツ」という単位で表されています。つまり、東日本には50ヘルツ、西日本には60ヘルツの電気が供給されているということです。

このように、日本の発電所では、交流電流の電気が作られています。これは、交流電流には、直流電流に比べて電圧を変えやすいという特長があるためです。というのも、前述のように、低電圧の電気を長い距離送ると電力の損失が大きくなります。そのため、無駄の発生を防ぐためには、発電した電気をなるべく高い電圧で送る必要があります。

ただ、このような高電圧の電気は、そのままで使用することはできません。前述のように、電線を包んでいる素材は電気を通しません。ただ、電気が超高電圧である場合、多くの物質に電気が流れるようになります。これを水に例えるならば、超高水圧の水が缶や岩などを貫通するのと同様です。

そのため、発電所で昇圧された電気をそのまま家庭に届けようとすると、電線以外の所に電気が流れやすくなります。すると、電気が需要地以外の所に流れたり人が感電死する危険性が高くなったりします。また、このような電気がコンセントから流れると通常の家電製品は壊れます。

このようなことから、発電所は交流電流を作って電力を送り出しています。そして、各地に変圧器を設置し、最適な電圧に調節して各需要地に配電しています。

電線を包んでいる素材

前述のように、電気を消費者が使用するためには、発電所と自宅などが電線などによって輪状につながっている必要があります。さらに、このような電気の通り道が「絶縁体」で包まれていることも必須条件となります。

というのも、前述のように、電気は「帰り道」があると流れます。そのため、むき出しの電線に別の電気の流れやすい物質が触れて回路が完成すると、電気は需要地以外のところにも流れていきます。

例えば、わたしたちが立っている地球は、電気を通しやすい物質です。そのため、発電所から自宅までをむき出しの電線でつなぐと、電気が電柱などを通って大地に逃げやすくなります。このようなことを防ぐために、発電所と需要地を結ぶ電線は、ゴムやビニールなどの「電気を通しにくい素材」で包まれています。

ただ、前述のように、電圧を上げると電気は流れやすくなります。このようなことから、電圧が超高圧だと、通常では絶縁体となるゴムやビニールなども電気を通してしまいます。そのため、変電所で昇圧された電気が通る電線は、これら素材を絶縁体とすることができません。

これに対して、「空気」は良質の絶縁体となります。というのも、電池と電球をむき出しの銅線をつなぐと、空気中に電気が流れずに回路が完成します。このように、空気は電気が流れにくい物質です。さらに、電線同士の距離を離すことによって、空気の絶縁能力を上げることができます。

ただ、悪天候時に大地へ雷が落ちるように、電気が超高電圧であり、かつ電気が流れる距離が短い場合は、空気は絶縁体として働きません。そのため、発電所から出た電気は、それぞれが十分な距離を保った電線を通って次の変電所へと向かいます。

自宅に電気が届くまでの経路

これまでに述べたように、発電所で作られた電気は、併設されている変電所で27万~50万ボルト程度の超高電圧に昇圧されて需要地へと向かいます。そして、このような電気は、各需要所に届く直前に最適な電圧へと降圧されます。そのため、電気が一般家庭に届くまでには、いくつかの変電所を経由します。

発電所を出発した電気は、「超高圧変電所」で15万4000ボルトに下げられます。そして、電力をたくさん消費する大規模な工場などには、この段階で配電が行われます。

また、超高圧変電所には、水力発電所や火力発電所など多くの発電所から電気が送られます。そのため、さまざまな発電方法による電力は、このような変電所によってミックスされた状態になります。

そして、このように降圧された電気は、一次変電所や中間変電所、配電用変電所なドを経由します。このとき、6万6000ボルト→2万2000ボルト→6600ボルトと、段階的に電圧が下げられていきます。

また、これら変電所を経由する際、電気はそれぞれの需要にあった電圧になった時点で消費者へと送られます。例えば、6万6000ボルトや2万2000ボルトなどの電気は、工場や鉄道変電所などへ送られます。

そして、6600ボルトの電気は、ビルや工場、大型のマンションなどに送られたり、電柱の上に設置されている柱上変圧器でさらに降圧されたりします。このようにして、一般家庭や小さな工場、事業所などには、100~200ボルトの電気が配電されます。

このように、発電された電力が家庭に届くまでには、多くの変電所を通ります。このようにすることによって、電力を送る際の損失を最小限に抑えています。

家庭に届いている電気の供給元

日本では、電力会社の供給エリアを超えて電力供給を受けることが困難です。というのも、このような供給エリアは9つに分かれています。そして、2016年の電力自由化以前は、それぞれの地域電力会社が、発電や送配電、売電など電気事業の全てを独占的に行っていました。

このような体制は、電力の安定供給を実現したため戦後の復興に大きく貢献しました。ただ一方で、前述のようなエリアでは、電力各社それぞれが責任を持って電力を供給することが義務付けられていました。

このようなことから、これらの供給エリアは、自社で持つ供給設備で電力需要をまかなうことが前提となっており、他のエリアから電力を送ることは想定されていませんでした。

そのため、供給エリアの間を結んでいる送電線は少なく、大量の電力を違うエリアに送ることができません。このようなことから、自宅に届いている電気のほとんどは、住んでいる地域の電力会社が管轄している供給エリア内から届いています。

ただ、前述のように、それぞれの地域電力会社は自エリアの電力需要を十分にまかなうだけの設備を備えています。とはいえ、東日本大震災のような災害時には、発電所が稼動できないことによって電力供給が間に合わなくなることがあります。

そのため、ゆくゆくは供給エリア間の送電線が強化され、他のエリアに送れる電力の量が増えるといわれています。

電力自由化以後における電気の流れ

2016年に、電力小売の全面自由化が行われました。これは、電気を使うすべての消費者が自由に契約する電力会社を選ぶことができるようになったということです。このような小売の自由化は、2015年から「電力自由化」として各メディアに取り上げられていました。

前述のように、一般消費者が使っている電気は、発電所から送配電線を通って自宅へと届きます。このような電気が届く道筋は、地域電力会社をやめて別の電力会社と契約しても変わりません。

というのも、「発電」「送配電」「売電」という3つの電気事業のうち、自由化されているのは発電部門と売電部門です。このうちの送配電部門は、電力自由化以前と同様に地域電力会社が行っています。そのため、電線などの送配電設備は、地域電力会社の所有物です。

このような中、電力自由化によって新たに電力業界へ参入した新電力会社は、各需要者に向けて新たに専用の送配電線を引くことはできません。これは、前述した3つの部門のうち、送配電部門は自由化されないためです。

送配電部門は、他2つの事業に比べて電力の安定供給に関わる要素が大きいです。そのため、これを自由化して他企業が参入すると、日本の安定した電力供給が揺らぐ危険性があります。

このようなことから、地域電力会社の送配電部門は、2020年までに分社してその役割を果たすこととなっています。そして、新電力会社は、送配電を担当している会社から有料で電線を借りて消費者に電気を販売します。つまり、電力会社を変更しても、自宅に電気が届くまでの道筋は変わらないのです。

また、前述のように、発電所から送られる電力は、自宅に届くまでに他の発電所からの電気と混ざっています。

そのため、契約する電力会社を乗り換えても、自宅にはそれ以前と同じ電気が届きます。このようなことから、契約の変更によって電気の質が変わることはないため、周波数が乱れやすくなったり停電しやすくなったりなどのトラブルは起こらないといえます。

前述のように、現代の日本では、ほとんどの人が当たり前のように電気を使用することができます。このような安定した電力供給は、これまでに述べたような電気の性質を熟知した専門家が電気事業に携わることによって保たれています。

また、電力自由化によって、一般市民全員が電力会社を選べるようになりました。これを言い換えると、私たちみんなが自分の選択に責任を負うようになったということです。

そのため、これまでに述べたような知識を「自分に関係のないこと」と他人事にせず、真剣に電力について考えてみましょう。そうすることで、電力業界が適正化していき、消費者が不要に損せず安心して電気を使えるようになります。