7218c76aff16fcddc7b4a4876b36a668_s

日本の電力をまかなっているのは、さまざまなエネルギーによる発電所です。このような発電所は全国各地に設置され、日本の安定した電力供給を支えています。特に、火力発電所による電力供給は、日本における電力需要の約6割を担っています。

ただ、火力発電では、化石燃料を燃やして電力を得ます。そのため、この方法による発電には、温室効果ガスの一種である二酸化炭素の排出を伴います。

このようなことから、近年では化石燃料の代替エネルギーとして「再生可能エネルギー」が注目を浴びています。再生可能エネルギーとは、一度消費しても比較的短期間でまた利用できるような自然界に常に存在するエネルギーのことをいいます。

再生可能エネルギーによる発電では、温室効果ガスを排出しません。そのため、地球温暖化対策として、再生可能エネルギー発電の導入が進められています。

日本では、このような再生可能エネルギーによる発電のうちでも、特に太陽光発電に力を入れてきました。そこで、ここでは太陽光発電の仕組みや歴史などについて解説していきます。

太陽光発電とは

太陽光発電では、太陽からの光エネルギーを電気エネルギーに変えて発電します。太陽光は、夜間以外すべての時間において地球に降り注いでいます。また、太陽光エネルギーは、太陽が寿命を迎えるまで利用することができます。そのため、太陽光はほぼ永続的なエネルギー源といえます。

太陽光発電では、「太陽電池」が太陽光を受けることによって発電します。そして、このような太陽電池には、大容量の大型設備から小出力の小型のものまでさまざまな大きさがあります。

さらに、太陽光発電では、発電の際に廃棄物や騒音、振動などが発生しません。そのため基本的には、太陽の光が当たるところであればどこでも太陽光発電を行うことができます。

実際に、太陽光発電は生活の身近な所に採用されています。例えば、文字盤に太陽電池を組み込んで電池交換を必要としない腕時計が市販されています。また、パーキングエリアの精算機や自動販売機の上部に太陽電池を取り付けて、これらの消費電力をまかなっている例もあります。

そして、このような太陽光発電による電力供給が増えると、温室効果ガス排出量の大きな削減につながることが期待されます。

というのも、前述のように、太陽光発電では二酸化炭素の排出を伴いません。さらに、太陽光発電では、太陽の出ている昼間に発電を行います。そして、電力の需要量がピークを迎えるのは、昼間の時間帯です。このようなことから、太陽光発電が増えると電力の需要ピークを支えることができるため、「ピーク電源」による電力供給を減らすことができるといわれています。

ピーク電源とは、急な発電量の増加を支えているエネルギー源のことをいいます。というのも、電気には「溜めておくことができない」という特徴があります。そのため、ピーク電源は、昼間など電力の需要量がピークを迎えるときに稼働して電力供給を安定させています。

ただ、ピーク電源に採用されているエネルギー源は、石油による火力や揚水式による水力です。前述のように、火力発電には温室効果ガスの排出を伴います。また、揚水式の水力発電を行うためには火力や原子力による電力を使用する必要があります。そのため、この発電方法は、間接的に二酸化炭素を排出するといえます。

このようなことから、太陽光発電が増えると、これらピーク電源の稼動を減らすことができるため、温室効果ガスの低減につながるといえます。

電力損失の少ない太陽光発電

また、前述の例のように、太陽電池を需要箇所に近い所に設置すると、送電による電力の損失を減らすことができます。というのも、発電された電気が消費者に届くまでには、変電設備や送配電線などのさまざまな箇所を通ります。

そして、このような過程を経るとき、作られた電気の何割かは消失します。このとき、電気を作る場所と使う場所が離れるほど電気の消失は大きくなります。そのため、電力供給を安定させるためには、実際に消費される電力よりも多くの電気を作る必要があります。

これに対して、小規模な太陽光発電では、太陽電池の設置箇所を工夫することによって発電箇所と電力の使用箇所を近くすることができます。そのため、小規模な太陽光発電では、設置場所によっては、他の発電方法に比べて電力の損失が少なくなります。

このように電力の損失が少なくなると、発電総量を減らすことができます。すると、火力発電所などの稼動を減らすことができるため、温室効果ガスを減らすことができます。

さらに、太陽光発電では、エネルギー源を調達するためにお金を支払う必要がありません。これに対して火力発電では、燃料の調達を輸入に頼る必要があります。

輸入を行うということは、その分だけ日本がお金を失うということです。そのため、太陽光発電は、火力発電に比べて発電にかかるコストが低いだけではなく、日本への経済的な負担を減らすこともできます。

太陽光発電のデメリット

このように、太陽光発電にはさまざまなメリットがあります。一方で、太陽光発電を行うための装置を設置するためには、多額の費用を必要とするというデメリットもあります。

太陽光発電による電力は、国の制度によって個人や企業が電力会社に売ることができます。そのため、自宅の屋根などに太陽発電設備を導入すると、世帯で消費する電力をまかなえるだけではなく、作った電気を販売することによってお金を得ることができます。ただ、このような装置の設置には、数百万円のコストがかかります。

さらに、このようにして高額の費用をかけて設置しても、発電量にはムラがあります。というのも、前述のように太陽光発電では、太陽電池が太陽光を受けることによって発電します。そのため、太陽が出ていない夜間は発電することができません。

また、昼間であっても、雲によって太陽が出ていないときは発電量が減ります。さらに、建物などの影になることによって太陽電池に光が当たらなかったり、火山灰や雪などが太陽電池に積もったりすると発電量が低下します。

このように、太陽光発電には大きなメリットがある一方で、導入のためにはさまざまな課題があります。ただ、火力発電に使用する燃料は、いずれ枯渇します。これに対して、太陽光は枯渇することがなく、地球には世界中で消費している量の約50倍の電力をまかなえる太陽光が降り注いでいるといわれています。

そのため、今後は太陽光発電の研究がさらに加速し、将来的には電力供給の要になることが期待されています。

太陽光発電の仕組み

前述のように、太陽光発電では、太陽電池に太陽光が当たることによって発電します。このような太陽電池には、シリコン系や化合物系、有機系などさまざまな種類があります。このうちシリコン系は、化合物系に比べて安価で取り扱いやすいため、多くの太陽電池装置に導入されています。

太陽電池に太陽光が当たると、「光電効果」が起こります。光電効果とは、金属などに光が当たったときに光が吸収されて電子が放出されると現象のことをいいます。

一般的な太陽電池では、性質が異なる2種類の半導体を合わせます。そして、マイナスとプラスの電極をそれぞれ異なる面に接続し、光電効果によって半導体から放出された電子を電極へと流して電力を作ります。そのため、太陽電池は、一般的に電池と呼ばれているような「蓄電池」ではなく、発電機の一種であるといえます。

このような発電方法では、「直流電流」が作られます。これに対して、一般的に工場や自宅で利用されている電気は「交流電流」です。交流電流とは、一定の周期で電圧が変動する電気のことをいいます。

そのため、太陽光発電によって作られた電気を世帯で使用するためには、直流電流を交流電流に変換するための装置を設置する必要があります。このような装置を「パワーコンディショナー(パワコン)」といいます。

そして、パワコンによって交流電流に変換された電気は、配電盤を通って世帯に届きます。太陽光発電設備を設置した家庭では、このようにして太陽光による電力を使用することができます。

また、このような設備に加えて蓄電池を設置すると、発電した電気を溜めて夜間に使用することができます。さらに、余った電気は電力量計や電力会社の配線を通して売ることもできます。

このように、一般的な発電方法では電気を作るためにタービンなどを回す必要があるのに対して、太陽光発電は太陽光エネルギーを直接電力に変換するため、小型の設備で発電が可能です。そのため、太陽光発電は一般家庭でも導入しやすい発電方法といえます。

太陽光発電の歴史

日本で電気が作られ始めた当初は、水力発電が主流でした。これは、水力発電は流れる水の力を利用する発電方法であるため、川の多い日本では利用しやすかったことに由来するといわれています。

水力発電で発電量を変えるためには、水をせき止めたりして水量を調整する必要があります。これに対して火力発電では、燃料量を調整することで容易に出力を変えることができます。そのため、戦後に安価な化石燃料が輸入できるようになると、火力発電による電力供給量が増加し始めました。

そして、1960年代には火力発電が日本における電力供給の主力となりました。ただ、1970年代に起こったオイルショックによって化石燃料の価格が高騰すると、化石燃料に依存する火力発電への反発が高まっていきました。

前述のように、化石燃料は輸入する必要があるのに対して、太陽光は自国で調達できます。そのため、火力の代替エネルギーとして太陽光が注目を浴び、発電方法が盛んに研究されるようになりました。

国による太陽光発電の導入

このような太陽光発電の導入は、国の先導によって積極的に行われました。そのため、日本における太陽光発電の発電・導入量は2000年代前半まで世界一の水準でした。また、2004年頃には、世界で利用される太陽電池の約半分を日本で生産していました。

ただ、2005年に発電設備を導入するための補助金制度が終了したことなどによって、太陽光による総発電量や導入量の増加は一時的に停滞しました。一方で、世界では温室効果ガスを排出しない次世代のエネルギーとして開発が急速に進められ、欧州の太陽光発電普及率がは日本よりも高くなりました。

このような中、2011年の原発事故によって、再生可能エネルギーが再び注目を浴び始めました。そして、2012年には太陽光発電の買取制度が新しくなり、これによって企業による太陽光発電の導入が盛んになりました。

そして、電力業界は「メガソーラー発電計画」を策定し、地域電力10社が全国約30地点に大規模な太陽光発電設備を設置するになりました。メガソーラーとは、1000kW以上の発電能力を持つ太陽光発電設備のことです。

これによって、2013年には新たに約7万kW分の太陽光発電設備が稼働し始めました。そして、計画の最終段階では、約14万kW分の発電設備を設置する予定となっています。このようなこともあり、2030年には国内発電量に占める太陽光発電の割合は、約12%にまで伸びるといわれています。

このように太陽光発電は、日本における電力供給の次世代を担う有望な発電方法です。

そして、太陽光発電は一般家庭でも導入することができます。そのため、これまでに述べたような知識を踏まえて、自宅の電気について真剣に考えてみましょう。そうすることによって、日本の電力環境がよりクリーンな電気を安価に使えるものになっていくはずです。