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2016年4月の電力小売の全面自由化によって、一般消費者が自由に電力会社を選べるようになりました。これによって多くの企業が電力業界に参入して、消費者の選択幅が大きく広がりました。

しかし、このように選択肢が増えた分、自分に最適なものを選ぶことが困難になります。特に、電気料金プランは複雑なものが多く、自分のライフスタイルに適した料金プランを選べずに電力会社の乗り換えを躊躇している人は少なくありません。

そこで、ここでは自身のライフスタイルに最適な電力会社を選ぶコツについて解説していきます。

電力会社を選ぶための3つの基準

電力会社を選ぶ基準は、大きく分けて「電気料金」「発電方法」「サービス」の3つがあります。

電気料金で選ぶ場合

「とにかく電気代を安くしたい」という人は、各社の電気料金を比較して切り替えを検討することをおすすめします。このとき、世帯の使用電力量を把握してから比較することが大切です。

というのも、電気の使用量に応じた料金は一律ではありません。具体的にいうと、電力量料金は①~120kWh、②120~300kWh、③301kWh~の3段階に分かれており、使用量が多くなるにつれて1kWhあたりの料金が高くなります。

このようなことから、月間の電力使用量が301kWhを大きく超える世帯では、③の割引率が高い料金プランがお得になりやすいです。一方で、月の電力使用量が300kWh未満の世帯では、①や②の割引率が高い料金プランを選ぶ必要があります。

ただ、実際には、①や②の割引率が高くなることはあまりありません。これは、電力会社は電力使用量の多い世帯と契約したほうが利益は増加しやすいため、③の割引率を高くしてこのような顧客を得ようとするためです。

そのため、あまり電気を使わない世帯では、①や②、③の料金を一律で割引する料金プランや、電気の基本料金が安いプランを選ぶことをおすすめします。また、すでに契約しているガスや通信の会社が電力業界に参入しているのであれば、セット契約によって電気料金を安くすることもできます。

発電方法で選ぶ場合

「安くなくてもいいから安全な発電方法による電力を選びたい」という人は、各電力会社のホームページに記載されている「電源構成」の確認をおすすめします。電源構成とは、販売している電気の発電方法割合を示したものです。

ただ、電源構成の開示は努力義務となっており、すべての電力会社が開示しているわけではありません。そのため、電力販売を行っているすべての会社における電源構成を比較することはできません。

しかしながら、電源構成を開示していない会社は、「開示すると契約がとれない」電源構成内容である可能性があります。

例えば、2011年の原発事故によって、原子力発電に反対する人が増えました。このような人の中には、原子力による電力を販売している会社とは契約しないことを希望する人も少なくありません。つまり、原子力発電の割合が高い会社が電源構成を開示すると、原発反対世帯の契約がとりづらくなるということです。

実際には、消費者が各社における電源構成不開示の理由を知ることはできません。ただ、このような理由から、発電方法で電力会社を選ぶのであれば、電源構成を開示している会社を選ぶのが賢明といえます。

また、さまざまな発電方法のうち、地球温暖化ガスを排出しない電力を選びたいのであれば、「グリーン電力」や「FIT電気」をおすすめします。グリーン電力とは、風力や太陽光、バイオマスなどの自然エネルギーによって発電された電力のことをいいます。

FIT電気とは、国が定めた制度によって買い取られた再生エネルギー発電による電気のことをいいます。このときの費用は、国の交付金や毎月の電気料金とともに徴収されている「再エネ発電賦課金」でまかなわれます。つまり、再生可能エネルギーで発電された電気のうち、電力会社が交付金や再エネ発電賦課金を利用して購入した電力がFIT電気であるということです。

これらの電力は、どちらも再生可能エネルギー発電による電力です。そのため、「グリーン電力」や「FIT電気」という表示のある電力は、発電に化石燃料を使用せず、地球温暖化ガスを排出しないため、安全で環境に優しいものであるということです。

ただ、このような発電方法で電力会社を選んでも、特定の発電方法による電気のみを使用することはできません。というのも、発電された電気は共通の送電網を通るため、さまざまな発電方法による電気が混ざった状態で自宅に届くためです。そのため、発電方法による電力会社の選択は、あくまで「発電方法の支持」であると割り切る必要があります。

サービスで選ぶ場合

電力会社は、前述の「電気料金」や「発電方法」ではなく、利便性やセットの内容で選ぶこともできます。例えば、ガス会社や通信会社などのすでに契約している会社と電力契約を結ぶと、請求を1本にまとめることができます。また、石油会社や旅行会社も電力業界に参入しているため、車の使用や旅行の頻度が多い人はこのような会社を選ぶと得することができます。

さらに、電力会社の中には「高齢者見守りサービス」を行っている会社もあります。これは、高齢者世帯における毎日の電力使用量を把握して健康状態を遠方から見守ることができるようになるサービスです。

このように、電力会社の料金プランやサービスはさまざまです。そのため、単純に電力会社を比較することは困難です。このようなことから、電力会社の乗り換えを失敗しないためには、これまでに述べたような3つの基準を意識して選ぶことが大切です。

最適な電力会社の選び方:発電方法の確認方法

さて、料金やサービスに比べて、発電方法をわかりやすく提示している電力会社は一部です。そこで、電力会社の電力調達方法の調べ方について確認していきます。

電力調達方法の内訳表示:電源構成

電力を得るための発電方法には、火力や原子力、太陽光などさまざまな種類があります。このうち、特定の発電方法のみによる電力を供給している会社は少ないです。つまり、ほとんどの電力会社は、さまざまな発電方法による電力を混ぜて販売しています。

このような電力の調達方法を表示したものが「電源構成」です。電源構成の記載方法には、「電力量」と「電力設備」の2種類があります。

電力量による電源構成では、電力会社が販売している電力の調達方法を、電力量の割合で示しています。例えば、2015年度における北海道電力の電源構成(電力量)は、石炭49%、石油27%、再生エネルギー16%、FIT電気6%、その他2%となっています。つまり、2015年度の北海道電力ではこれらの手段によって電力を調達したということです。

これに対して、電力設備の電源構成では、電力会社が所持している発電設備の割合が示されています。例えば、東京電力における2014年度の電源構成(電力設備)は、ガス45%、原子力19%、石油16%、水力15%、石炭5%となっています。

ただ、電力設備による電源構成で表示されている設備には、稼働していないものも含まれています。2012年度における東京電力の電源構成では、原子力が22%となっています。ただ実際には、前年に発生した原発事故によって、2012年度における東京電力管内の原子力発電所は一時的に稼動を停止していました。つまり、「電力設備の電源構成=電力の調達手段」ではないのです。

このような理由から、電力会社の販売している電気がどのようにして調達されているかを確認するためには、電力量の電源構成を確認することが大切といえます。

電源構成の表示は義務化されていない

電力自由化にあたって、経産省は「電力の小売営業に関する指針」を発表しました。これには、電力を販売する際のルールが記載されています。

この指針に、電源構成の表示は「望ましい行為」と記載されています。つまり、電源構成の表示は努力義務であって、表示するかどうかは各会社の裁量に任せられているということです。

実際に東京電力は、前述のように電力設備の電源構成は表示していますが、電力量に関する電源構成の表示は行っていません。

電源構成を表示しない理由は、各電力会社にしかわかりません。ただ、一般的に、消費者にとって好ましい情報は積極的に開示されます。というのも、このような情報は、消費者がその会社を選ぶ理由になり、開示することで契約が取れる可能性が高いためです。

これに対して、消費者にとって不都合な情報を積極的に開示する会社はまずありません。このような情報の開示は、会社の不利益に直結して経営難の原因となるためです。

このようなことから、電源構成を表示していないということは、消費者にとってネガティブな情報が含まれている可能性が高いといえます。そのため、発電方法で電力会社を検討する際には、電源構成を表示している会社を選ぶことをおすすめします。

電源構成の見方

前述のように、電源構成の表示は義務化されていません。そのため、電源構成の表示方法も統一されておらず、会社によって表示内容が異なります。ただ経産省は、電力の小売営業に関する指針で「電源表示の例」を示しています。

この例では、FIT電気は再生エネルギー電力と区別して表示する必要があり、その特性も明示するべきとされています。

前述の通り、FIT電気は再生エネルギーによって発電された電力です。ただ、電源表示の例では、FIT電気を買うための資金を消費者から徴収しているため、再生エネルギー電力とは別に表示する必要があるとしています。

また、電源構成の表示には、併せて二酸化炭素の排出量も明示するべきとされています。二酸化炭素は、ガスや石油、石炭など化石燃料での発電によって排出されます。ただ、この二酸化炭素の排出量表示には、FIT電気も「二酸化炭素を排出する電気」として数えられています。

前述のように、FIT電気は再生エネルギーによって発電されているため、二酸化炭素の排出を伴いません。つまり、FIT電気の販売量が多くなると、二酸化炭素排出量の表示が実際よりも高い数値になるということです。

このような表示は、電源構成の非表示と併せて「不適切」との声が多いです。実際に、電力自由化で先行するドイツでは、電源表示の義務化が行われており、FIT電気は二酸化炭素を排出しない電気として扱われています。

使用している電気がどのようにして発電されているかは、日本の未来に関わる重大な内容です。そのため、これまでに述べたような知識を踏まえて、電源表示を行っている電力会社を選ぶことが大切です。そうすることで、電源表示を行う会社が増えて発電方法を工夫するようになり、国民が望まない発電方法が淘汰されていくはずです。